アレックス・アルボンは、2019年にレッドブルへ昇格した多くの“セカンドシートの犠牲者”のひとりだった。彼は2020年までマックス・フェルスタッペンに圧倒され、チームを去ることとなった。

アルボンはルーキーシーズンの途中、トロ・ロッソから昇格し、結果を残せなかったピエール・ガスリーの代役としてレッドブル入りを果たした。しかし、ガスリーや2018年のダニエル・リカルドと同様、フェルスタッペンの横では苦しんだ。

アルボンは表彰台2回にとどまり、2020年末にクリスチャン・ホーナーから戦力外通告を受けた。2021年はグリッドから姿を消し、2022年にウィリアムズで復帰を果たした。

復帰後はウィリアムズでエースドライバーとして地位を確立し、競争力に欠けるマシンでも安定してポイントを獲得した。ニコラス・ラティフィやローガン・サージェントを圧倒し、2024年にはフランコ・コラピントが一定の手応えを示したものの、それでもアルボンの存在感は際立っていた。

2025年にはカルロス・サインツを迎え、形勢が変わるとみられたが、これまでほぼアルボンが上回っている。今季アルボンはランキング8位につけ、シーズンを通して注目を集める存在となっている。

アルボンは「レッドブル復帰に関心なし」 ウィリアムズの未来に魅力を感じる

報道によると、レッドブルのタイ資本サイドはアルボンの復帰を熱望しているという。チーム株式の49%を保有するタイのチャレム・ユーヴィディヤは、同郷のアルボンと良好な関係を築いている。

一方で、フェルスタッペンはすでに2026年以降の残留を確約。角田裕毅、レーシングブルズのイザック・ハジャル、リアム・ローソンはいずれも2025年末で契約が切れる状況だ。チーム内に選択肢はあるものの、レッドブルは外部のドライバーを探す可能性もある。

しかしオランダのメディアFormule1.NLによれば、アルボン本人は次のような姿勢を持ち続けているという。

「僕はレッドブルに戻ることにほとんど関心がない。ウィリアムズのプロジェクトの方が魅力的だし、契約も2027年まで保証されている」

さらに2026年からウィリアムズはメルセデス製パワーユニットを搭載する予定で、これが最速になるとの見方が広がっている。一方、レッドブルの独自PUについてはすでにチーム内部からも競争力への不安が漏れている。