
フランツ・トストが、レッドブルとの稀代の成功を収めたホンダに賛辞を送った。パートナーシップが終盤を迎えるなか、その足跡を「モータースポーツ史に残る物語だ」と強調した。2026年にホンダはアストンマーティンへ移る一方、レッドブルはフォードと自社製PUの開発に舵を切る。
トストはホンダ製PUを搭載したトロロッソ/アルファタウリを率い、2023年末にチーム代表を退いた人物だ。彼はオーストリアのServus TVで、当初は周囲に懐疑が渦巻いていたと振り返った。
「2017年、ロンドンでのエキシビションの時期だった。僕たちはすでにホンダと話を進めていた。そこへマクラーレンの関係者が来て『彼らと組んで何を成し遂げるつもりだ?』と聞いてきた。僕は『静かにしていてくれ。5年後にまた話そう』と答えた。5年後、彼らはもういなかった一方で、ホンダはF1で成功をつかんでいた」
レッドブル以前、マクラーレンはホンダとの厳しい時期を経験していた。しかしトストは、その結果に驚かなかったと語る。
「うまくいかなかったのは、協力も情報共有もなかったからだ。マクラーレンはすべてを自分たちの内に留めた。僕たちの場合は最初から結びつきが強かった。2018年は難しかったが、2019年には彼らは初勝利を挙げた。その先のレッドブルの物語は、もう誰もが知っている通りだ」
さらにトストは、ホンダを「世界屈指のモータースポーツ企業」と讃えた。
「モータースポーツは企業の哲学の一部だ。創業者の時代から、競争の厳しい場で技術者を鍛え、工場へ還すという考えがある。その哲学は今も生きている。素晴らしいコラボレーションだったと言わざるを得ない」
栄光の終幕が近づいても、ホンダとレッドブルが築いた勝利の系譜は揺るがない。新章の開幕を前に、トストの言葉はその価値をいっそう際立たせた。