レッドブルはシンガポールGP開幕日に、新型フロントウイングを中心とした小規模アップグレードを投入した。直近2戦を制して流れを掴みつつあるチームは、マリーナベイの特殊条件に合わせた微修正で競争力向上を狙う構えだ。英メディアは「フロントウイングの新仕様が実戦投入された」、「RB21にさらなるアップデート」と相次いで報道している。また一部報道ではエンジンカバーにも変更が見られると伝えている。

その一方で、ドライバー側の適応も進む。角田裕毅は木曜会見日、今季中盤以降の復調について「RB時代に使っていた方向性へとセットアップを戻したこと」が転機になったと明かした。

「僕はローレン・メキースの下で正しい方向が見えてきた。レーシング・ブルズ時代に近いセットアップに寄せていくことで、僕に合うフィーリングが戻ってきた」
インタビューは、角田の手応えがマシン側の進歩と自分に合うセットアップ回帰の両輪で成り立っていることを強調する内容だった。

現在のレッドブルは、モンツァでのフロア更新を起点にパフォーマンス曲線を立て直し、ベッテル時代以来の“シンガポール相性の壁”をどう越えるかが焦点だ。フェルスタッペン本人も「最近の改良で手応えは上向きだが、シンガポールは簡単ではない」と慎重な構えを崩していない。

角田は前戦バクーで今季自己最高位をマークし、メキース新体制への適応が数字にも表れてきた。

「僕たちはモンツァ以降で何かを“解錠”できた。そこからの流れを、シンガポールでも再現したい」
と角田は語っており、メキースは「角田の進歩は心強い」と評価している。復調の裏側に“RB時代の感覚”を呼び戻したセットアップがあるという事実は、今週末のシビアな低速区間でも武器になり得るか。発熱とトラクション要求が高いマリーナベイでどこまで効くかに注目が集まる。