シンガポールGPを6位で終えたシャルル・ルクレールが、現在のフェラーリSF-25の競争力に深い失望を示した。レース後、ルクレールは自分たちはマシンの“乗客”に過ぎず、ドライビングで限界を上書きして表彰台圏に戻すことはできないと語ったのだ。

「僕らはクルマの乗客だ。いまのパッケージからもっと引き出すことは難しい。ドライビングで魔法のように穴埋めできる状況ではない。」

週末を通じて、フェラーリはペース管理のために大きなリフト&コーストを強いられ、攻めの走りが封じられた。フレデリック・ヴァスール代表もその事実を認め、マネジメントの度合いが過剰だったことを示唆した。

予選から挙動の不安定さに悩まされ、セットアップ変更でも改善が限定的だったことも重なり、上位勢とのギャップは最後まで埋まらなかった。ルクレールは「期待していた舞台で競えなかった」と落胆を隠さず、シーズン終盤に向けて現実的な目標設定を迫られている。

一方で、チームの低迷は単発の問題ではない。今季フェラーリは依然として勝利がなく、信頼性やペースの波に足を取られている。シンガポールでも終盤にかけてブレーキ関連の懸念が表面化し、戦略の自由度を奪った。マクラーレンの連覇確定やメルセデスの勝利で勢力図が固まる中、フェラーリは改善の道筋を急ぎ描く必要があるのだ。

「僕らは結果に対して正直であるべきだ。いまはトップ争いの絵に入れていない。次戦までにできることをすべてやるだけだ。」

ルクレールの言葉は、今季の“現実”を端的に物語っている。次戦までの短いインターバルで、フェラーリがどこまで根源的な改善に踏み込めるかが、巻き返しの可能性を左右する鍵になるはずだ。