ランド・ノリスのタイトルは、サンパウロGP優勝で現実味を帯びた。ドライバーズ選手権はピアストリと24点差。フェルスタッペンとは49点差となっている。残りはラスベガス、カタール(スプリントあり)、アブダビの3戦で、依然として逆転の余地はあるが、主導権はノリスにある。少なくともここ2戦では予選・決勝ともライバルのプレッシャーが極小化している。

レッドブルがブラジルで強力なレースペースを見せたが、これが継続するようであればノリスの脅威になるだろうか。ノリスはラスベガスで差を広げ、カタールのスプリント+決勝を終えて「残り1戦で27点以上のリード」を確保すれば戴冠が決まる計算だ。逆にラスベガスで取りこぼしがあれば、一気に三つ巴の激戦を招く。

ではピアストリとフェルスタッペンがノリスを破るには何が必要か。第一に、マクラーレンのロングラン優位を崩すだけの決勝ペースである。路面温度変化に強いタイヤ温存、デグラ抑制、ピットウィンドウ短縮のためのアンダーカット実行力が鍵となる。第二に、スタートと再スタートの初動で前に出ること。今季のノリスはクリーンエア時で速さを最大化しており、先行を許すと戦略の選択肢が狭まる。第三にスプリントでの加点。カタールの土曜8点は小さく見えて実は重い。ここで先手を取れば、日曜は守勢でも致命傷を避けられる。