
イタリアGP決勝終盤、マクラーレンはピット作業の遅れで2番手を落としたノリスのため、ピアストリにポジション返上を要請した。ピアストリは指示に従い、結果はフェルスタッペン優勝、ノリス2位、ピアストリ3位となった。これによりタイトル差は31点に縮まり、選手権の緊張感は一段と高まった。
是非を巡る議論は避けられない。ピット作業のミスをレース内で是正するのか、それともドライバー同士の勝負に委ねるのか。ステラ代表は今回の入れ替えを「公正」と位置づけ、ピアストリも妥当性を認めたとされるが、無線のやり取りは滑らかではなかった。
選手権の文脈で見れば合理的だ。ノリスは王座を追う立場にあり、今回の入れ替えは6点分のスイングを生んだ。長期戦での一点の価値を思えば、チームの判断は理解できる。他方で、若きエース二人の関係に微細なひずみを残しうるのも事実だ。次に同様の事象が起きた時、同じ原則で適用できるかが信頼の試金石となる。
ファンが見たいのは同一マシンの真っ向勝負であり、冷徹な算盤との両立は常に難題である。モンツァは、その緊張関係を生々しく可視化したものだった。