モナコGPで前を走るアレックス・アルボンの意図的なスローペースに業を煮やしたジョージ・ラッセルは、”衝突回避”を理由にシケインをカット。その結果ペナルティを受けたものの、レース後の夕食代はアルボンが支払うことになった。

F1は2025年のモナコGPにおいて2回のピットストップを義務付けた。しかし蓋を開けてみれば、疑問の残る戦術、そして苛立ちが支配するレースとなった。

リアム・ローソンがわざとペースを落とし、後方にギャップを作ることでイザック・ハジャーの2度のピットインを可能にし、それでもトップ10圏内をキープするという戦術を取った。この動きにウィリアムズも対応を余儀なくされ、カルロス・サインツが後方にギャップを作るためにペースを落とした。ラッセルはこの戦術を無線で報告し、サインツが3秒遅れで走っていると伝えられた。その後、アルボンもサインツのために同様の動きを見せた。これに対してラッセルは怒り心頭だった。

「彼は危険なくらい遅いスピードで走ってる!コースのあらゆる場所でブレーキを踏んでいる!」

怒りを爆発させたラッセルは、ヌーヴェルシケインをカットしてアルボンを追い抜いた。その後、

「アルボンの動きがあまりに不安定だったから、ぶつかるのを避けるために仕方なくやった」

と主張した。しかしレース審判は、無線での発言が「意図的な行為」と受け取れる内容だったとして、単なる10秒加算ではなく、ドライブスルーペナルティを科した。結果として、アルボンとサインツはそれぞれ9位・10位でポイントを獲得。ラッセルは11位でフィニッシュし、ポイントには届かなかった。

その後、ラッセルはSNSでアルボンに軽口を飛ばした。

「モナコは本当に特別な場所だけど、予選失敗の時点で僕たちの週末は終わってたようなものだった。今夜のディナーは君のおごりだ、アルボン!!」

そしてアルボンは、その晩の夕食代を支払った。

しかしアルボンは、チームがポイント獲得したことに喜びつつも、以下のように語った。

「こんな形でレースをしたくはないし、観ている人にとっても楽しくなかったと思う。こういう展開になる可能性はわかってたし、木曜にはもう話題になってた。でも、こういうレースにはしたくなかったんだ。僕たちとしては、そんな戦術を使うつもりはなかった」

「でも、RBが先にやったから、僕らもそれに合わせざるを得なくなった。集団があまりにも詰まってしまって、そこから抜け出すには同じことをやるしかなかった」

「見栄えは悪いし、フラストレーションもある。でも、F1はチームスポーツだし、最終的にチームのために3ポイントを最大限に引き出せたと思う」

そして、ラッセルの強引な動きと無線の苦情について、笑顔を浮かべながらこう語った。

「ジョージはおちゃめなんだ。彼と一緒に車に乗ると、道路でもちょっとズルい運転することがある。サーキットでも同じだったね」

「彼が何をしようとしていたのかはすぐにわかったし、ちょっとバレバレだったと思う。でも、その努力は認めたい。ああするしかなかったんだと思うよ。実際、ペナルティが出るまでは何周か本気で焦ったよ!」