マックス・フェルスタッペン、ヘルムート・マルコ博士、そして解任となったクリスチャン・ホーナーも、フェルスタッペンによる5年連続タイトル獲得は「もう実現しない」と認めているが、レッドブルが2025年を諦めているわけではない。エナジードリンク企業のスポーツ部門CEOであるオリバー・ミンツラフは、ホーナーの解任後にこう語ったとビルト紙が報じている。

「スイッチを切り替えて、前を向き、団結しなければならない。チームとして、これまで数々の偉業を成し遂げてきたし、これからもそうあり続ける。世界選手権はまだ終わっていない」

次戦スパとハンガリーの2連戦に向けて、レッドブルはマシンに新パーツを投入する予定だと、マルコはSpeed Weekに語った。このインタビューで彼はホーナーについては一切触れなかったが、スパ・フランコルシャンから「レッドブル・レーシング」と「レーシング・ブルズ」に新たな章が始まると語った。

「(レーシング・ブルズ代表となった)アラン(パーメイン)は我々にとって論理的な選択だった。外部から誰かを連れてくるつもりはなかった」

「ローラン(メキース)も同じ理由で自然な人選だった。内部昇格であり、豊富な経験を持つ男でもある。FIAやフェラーリでの活動を含め、さまざまな経験を積んできた彼には、トップチームを巧みに率いるために必要なすべての要素が備わっている」

だが、ホーナーの20年にわたる“王朝”の後任ということもあり、メキースには巨大な重圧がのしかかっている。Auto Motor und Sportの名物記者ミヒャエル・シュミットはこう語る。

「フランス人である彼にとって、ミルトン・キーンズでの仕事は容易ではないだろう。数週間以内にはマックスがどう動くかが見えてくるだろう」

「そして彼は来季のドライバーラインナップも決めなければならない。今の成績が続けば角田裕毅は残れないだろう。イザック・ハジャーのことはレーシング・ブルズ時代から知っている。彼をトップチームに昇格させたいと思っているはずだ。では、イザックの横に誰を置くのか? ローランには大きな決断が待っている」

ビルト紙は、ホーナーがレッドブルから追放された理由の「致命的な一手」は、セカンドチームであるレーシング・ブルズのマーケティング業務に至るまで支配権を手放さなかったことにあると報じている。それが最終的に、これまで最強の後ろ盾だったレッドブル共同オーナー、チャレーム・ユーヴィディヤとの口論に発展したという。現在、レッドブル上層部はホーナーに残された5年分の契約をどう清算するかを協議中とされている。

その金額は5000万〜1億2500万ドルに及ぶとの報道もあり、一部ではホーナーがその資金を使ってアルピーヌチームへの出資を検討しているという噂も流れている。

オランダ紙『デ・テレグラーフ』のエリク・ファン・ハーレン記者はこう語った。

「ホーナーがその大金を何に使うのか興味深い。彼がアルピーヌの株を買いたがっているという噂もある」

元F1ドライバーのクリスチャン・アルバースも同意見だ。

「みんな知っているが、ホーナーはレッドブルの株を欲しがっていたが得られなかった。今、チャンスがあるとすれば、それはアルピーヌだ」