カナダGPでランド・ノリスとの接触によりリードを22ポイントに広げたオスカー・ピアストリ。しかし、マクラーレンがチームオーダーや明確なドライバー格付けを導入する可能性について問われたピアストリの答えは、クールな一言だった。

「ないよ(Nope)」

この答えに胸をなでおろしているのが、かつてマクラーレンと密接に関わっていた元メルセデス・モータースポーツ責任者、ノルベルト・ハウグだ。

「彼らがドライバーにフェアな戦いの機会を与えているのは嬉しいことだ。これが本当のモータースポーツであり、そうあるべきだと思う」

「カナダで見られたような単発的な接触は今後も起こるだろうが、それも含めて受け入れるしかない。時が経てば、状況はますます難しくなるかもしれないが、アンドレア・ステラとザク・ブラウンならきちんとコントロールできると僕は信じている」

「今のマクラーレンの姿勢は、他のチームの手本になるべきだと思う」

一方で、元ハース代表のギュンター・シュタイナーは強く異議を唱えている。

ドイツ「ビルト」紙によると、彼はこう語っている。

「マクラーレンは今すぐチームオーダーを出すべきだ。そうしなければフェルスタッペンには勝てない」

「内部ではこの話が議論されているはずだが、首脳陣はドライバーを怒らせたくないと考えているように見える。どちらかのドライバーがタイトル争いから脱落することで、自然と問題が解決されることを期待しているのだろう」

「でも、それは火遊びだ。マクラーレンは動くべきだ。そうしなければ他のチームに抜かれてしまう」

レッドブルのアドバイザーであるヘルムート・マルコも、マクラーレンのドライバー同士のバトルを歓迎しているが、モントリオールでのレースについては、オレンジのマシンの「間違った方」がリタイアしたと嘆いた。

「僕が言いたかったのは、ああいう接触では通常リアタイヤが壊れるんだけど、ピアストリは運良く続行できたということだ」

とオーストリア紙「オーストライヒ」に語り、次のように続けた。

「でも、いずれ彼の運も尽きるだろう」

とはいえ、ピアストリ自身はノリスに対する22ポイントのリードを「十分な差」とは考えていないようだ。

「君の言う『十分な差』って、僕にとっては全然そうじゃないよ」

と24歳のオーストラリア人ドライバーは記者に語った。

「僕自身も、チームとしても、公平な戦いのチャンスを望んでいる。特にドライバーズチャンピオンシップにおいてはね。結局のところ、タイトルを取れるのは僕たちのうちの一人しかいないんだから」

一部でささやかれる“ナンバー1ドライバー”の議論について問われると、ピアストリはこう答えた。

「その話をするには、状況が劇的に変わらなきゃいけないと思う。だから、僕はそんな話に乗るつもりはまったくないよ」