
マクラーレンは10月2日、F2で活躍する19歳のアレックス・ダンとの育成(ドライバー・デベロップメント)契約を終了したと発表した。昨年に同プログラムへ加入したダンは、今季F2で複数勝利を挙げ、オーストリアGPのFP1ではピアストリに0.1秒差以内のタイムで存在感を示していたが、関係は突如として解消された。公式リリースは簡潔で、理由は明示されていない。
英専門メディアは「今後のキャリア方針の不一致」が背景にあると伝える。レース週末直前の電撃発表は異例で、若手の評価・起用を巡る各陣営の思惑が色濃くにじむ。すでに複数のチームが同選手の動向を注視しており、次の受け皿をめぐる争奪戦が始まったとの見方が広がる。
中でも噂の中心はレッドブルだ。古参アドバイザーのヘルムート・マルコとコンタクトがあったと報じる媒体もあり、レッドブル・グループへの編入説が加速。モータースポーツ・ドットコムは「マルコとの協議のさなかにある」とし、プログラム離脱で“移籍の扉”が開いたと分析した。もっとも、獲得競争はオープンであり、ダンに関心を示す他陣営の可能性も残る。
F2で即戦力性を示し、F1週末でも適応力を証明した十代の逸材は、いまやシート市場のホットトピックだ。シンガポールGPウィークに飛び出したニュースは、ジュニア育成の勢力図に影響を与えるだけでなく、2026年の新レギュレーション期へ向けた各チームの長期的人材戦略にも波紋を広げている。