
2021年、2023年、2024年、2025年と4度のインディカーチャンピオン、アレックス・パロウの“契約破棄”をめぐるマクラーレンとの訴訟が英ロンドン高等法院で進んでいる。フランス「レ・キップ」紙は、マクラーレンが求める損害賠償額は約2,500万ドル(約36億9,580万円)に達すると報道。内訳として、主要スポンサー喪失、アロー・マクラーレンの他ドライバー給与の是正、さらに既に支払った40万ドルのボーナス返還などを主張しているという。
一方で英米メディアの法廷報道では、請求額は約2,000万~2,070万ドル規模として伝えられており、金額面には幅がある。いずれも争点は、パロウが2022年に結んだマクラーレンのインディカー参戦契約を反故にしてチップ・ガナッシ・レーシング残留を選んだ行為が、どの程度の実損を生んだか——という点だ。
パロウ側は法廷で「マクラーレンにF1昇格の可能性を示され、ミスリードされた」と主張。ザク・ブラウンCEOは「虚偽の約束はしていない」と否定し、同社の被害(体制再編の混乱やスポンサー関係の悪化など)を強調する。
最終的な損害額の認定はこれからだが、法廷での証言からは、F1シート期待と現実のギャップ、そして大型契約の連鎖影響(スポンサー、年俸、ボーナス)の評価が焦点であることが見えてきた。判決次第では、F1やインディカー間のドライバー獲得慣行や契約実務にも波及しうるといわれる。