F1モナコGP、16位スタートのガブリエル・ボルトレートは数台をオーバーテイクし、メルセデスのキミ・アントネッリをヘアピン外側から抜いた場面だった。しかし、トンネルへ向かうセクションでアントネッリがすぐに挽回しようと仕掛けてきたことで、ボルトレートは逃げ場を失い、ウォールに接触してしまった。幸いにも走行を続けることはできたが、フロントウイングを破損し、ピットインを強いられたことで、レースは実質的に終わってしまった。

アントネッリにはペナルティが課されなかったが、レース中のボルトレートは無線で激昂していた。

「クソっ、アントネッリ、なんなんだよ!焦ってるガキめ!(“F**k it. Antonelli, man! Desperated kid.”)」

その後、アントネッリにペナルティが科されたかを確認しチームに「ノー」と返答されると、怒りを隠さなかった。

「わかった。次は彼を壁に突っ込ませてやるよ。(OK. I will put him in the wall next time)」

レース後には少し冷静さを取り戻し、メディアに対して次のように振り返った。

「ターン6で彼をオーバーテイクしたんだ。でもターン8で彼がダイブボムしてきた。あそこはこれまでにも何度も事故が起きてる場所だ。ダイブボムをするってことは、それだけで大きなリスクを取ってるってことだ。僕もすでにコーナーに入ってたし、あんな場所で仕掛けてくるなんて想像もしてなかった。だからとにかくコース上に留まろうとして、彼が少しはスペースをくれると思ったけど、まったく空けてくれなかった」

「結局、彼にぶつからないようにするために壁に接触することになった。どっちみち壁には突っ込んでたと思う。フロントウイングを壊して、せっかくスタートで稼いだ5つのポジションを全部失ってしまった。ほんとに悔しいよ」

アントネッリもまた、自分の動きがアグレッシブだったことは認めたものの、接触はしていないと主張した。

「ヘアピンで驚かされたし、戦略のためにもチームメイトのジョージ・ラッセルの後ろには下がりたくなかったんだ。アグレッシブな動きだったけど、結局ぶつかってない。アペックスでも僕の方が前に出てた。彼を壁に突っ込ませたかったわけじゃないし、そんなつもりはまったくなかった」

「できる限りスペースは与えようとしたよ。ただ、モナコはとにかくコース幅が狭いからね。こういうことも起こり得る。ポジションを失いたくなかったんだ。とくに僕たちの戦略ではジョージと並んで走る必要があったから」

「だから抜き返そうとした。でも別に特別なことをしたとは思ってない。オンボードを見直しても、接触は一切なかった。汚い動きじゃないよ」

「あくまでアグレッシブなオーバーテイクだったってだけ。彼を壁に突っ込ませるつもりなんてなかった。ただのオーバーテイクさ。もちろん、壁に突っ込むのは気分のいいことじゃないけど、マイアミのときみたいに接触があったわけでもないし、今回は完全にクリーンだったと思う」