ホンダ・レーシング・コーポレーション(HRC)の渡辺恒治社長は、2026年以降にホンダがアストンマーティンのワークスエンジンサプライヤーとなり、レッドブルとの技術提携が終了する見通しの中でも、角田裕毅のレッドブル残留を強く望んでいる。

角田の去就は依然として不透明だ。レッドブルは若手のイザック・ハッジャーを昇格させるか、25歳の角田を引き続き起用するかを慎重に検討している。角田は先日、ホンダの名車「RA272(1965年製)」をドライブし、メキシコGPの会場でデモランを披露したばかりだ。パドック内では、レッドブル首脳陣がマックス・フェルスタッペンのチームメイトに新人を起用するリスクを懸念しているとの見方も強い。

渡辺社長は、メキシコGPで角田がホンダの名車「RA272(1965年製)」のデモランを行ったことについて次のように語った。

「日本を代表するF1ドライバーのひとりである角田裕毅にこの車を走らせ、ホンダが初優勝を飾ってから60年の節目となるメキシコGPで披露できたことは、ホンダの挑戦がこれからも続くというメッセージを世界に発信する機会になったと思う」

さらに角田についても言及し、こう続けた。

「彼には今も以前と同じポテンシャルがあると信じている。レッドブルでも十分に戦える力を持っている。残りのレースでいい走りを見せて、チームに残ってほしい」

渡辺社長は、今後予定されているレッドブルとの会談でも角田の去就が議題に上がる可能性を示唆した。

「角田の話題はおそらく出てくると思う」

また、2026年のドライバー決定が遅れている背景について尋ねられると、レッドブル上層部の間で意見が分かれているとの報道を踏まえ、こう述べた。

「我々は長年のパートナーとして信頼関係を築いてきた。ドライバーの選択はあくまでチームの判断だ。ただ、角田には十分なポテンシャルがあると考えており、彼が2026年もレッドブル・ファミリーの一員として戦えるだけの力を持っているという意見を伝えるつもりだ」

さらに渡辺社長は、仮に角田がレッドブルではなくレーシング・ブルズに残留する形になっても満足だと語り、今後も個人的な支援を続ける可能性を明かした。

「彼はホンダの育成システムから生まれたドライバーだ。だからこれからも何らかの形でつながりを持ち続けたい。たとえばホンダ・サンクスデーなどのイベントに参加してもらうことも考えられる」

一方、レーシング・ブルズのアラン・パーマーネ代表は、最終決定がアブダビ最終戦後に持ち越される可能性があると述べた。

「最終決定はシーズン終了直後までずれ込むかもしれない。アブダビの翌月曜日の朝まで分からない可能性もある」

角田の未来はまだ定まっていない。しかしホンダのトップがこれほどまでに信頼と支援を公言したことで、2026年に向けて彼のキャリアは再び注目を集めている。