セルジオ・ペレス(34歳)は、レッドブル・レーシングでの最後のレースに挑んでいる。カタールで再び失望のパフォーマンスを見せ、さらにいくつかの目立つミスを犯したことで、クリスチャン・ホーナーとヘルムート・マルコの我慢も限界に達したようだ。アブダビGPをもってペレスはチームを離れることになり、アンバサダーとしての役割が与えられると、幾つかのメディア予想している。
ペレスは一度もマックス・フェルスタッペンのレベルに近づけなかったが、今シーズンその差は過去最大となった。同じマシンに乗りながら、フェルスタッペンはペレスの約3倍のポイントを獲得。さらに、フェルスタッペンは14回表彰台に立ったのに対し、ペレスはわずか4回。勝利数でもペレスの2勝に対し、フェルスタッペンは9勝を挙げている。ラスベガスでフェルスタッペンが世界チャンピオンに輝く一方、ペレスはドライバーズランキング8位という期待外れの結果に甘んじている。夏休み中には既にチームを去るとの噂もあったが、メキシコのスポンサーからの財政的支援があったためか、レッドブルは再びチャンスを与えた。
カタールで再び低迷したペレス
しかし、夏休み後もペレスのパフォーマンスは改善されなかった。34歳のドライバーは完全に調子を失ったようであり、その兆候はカタールでも明らかだった。スプリントレースのスタート時、信号が青になっても「アクセルを踏むのを忘れる」という失態を犯し、メインレースでもミスを連発。結局、ポイントを獲得することはできなかった。予選では9位に終わり、クリスチャン・ホーナーもメディアに対しペレスについて何を言えば良いか困惑している様子だった。
コラピントは候補から除外される
ここ数週間、フランコ・コラピントが2025年にレッドブル系列のシートを得る可能性があると噂されていたが、ホーナーとマルコがこの案を却下したとされる。コラピントはブラジルやラスベガスでデビュー時のような印象的なパフォーマンスを見せることができず、ウィリアムズの貴重なパーツを大破させたことが理由だとみられる。
「数週間にわたる憶測を経て、コラピントはレッドブル系列のどちらかのチームでのシートを得る可能性が否定されたようだ」と報じられている。
角田裕毅またはリアム・ローソンがレッドブル、ハジャールはRBに?
また、ウィリアムズからカルロス・サインツを引き抜く案や、引退したダニエル・リカルドを呼び戻すという噂も完全に否定された。複数のメディアでは、ペレスの後任として角田裕毅またはローソンが有力候補とされている。一方で、イスハク・ハジャールはRBのシートを得る可能性が高いとされる。20歳のフランス人ドライバーは現在F2ランキング2位につけており、カタールGPのメインレースでは2位でフィニッシュしている。
角田裕毅の課題とリアム・ローソンの優位性
アブダビGPが迫る中、リアム・ローソンがレッドブル昇格のリード候補として注目を集めている。一方で、これまでの大半のシーズンで候補外とされてきた角田裕毅も、ここにきてその可能性が再浮上している。角田は強力な結果を積み重ね、RBがコンストラクターズ選手権6位争いを続ける上で、46ポイント中30ポイントを獲得するという大きな貢献を果たしたことが評価されている。マシンの根本的な遅さにもかかわらず、予選の速さやスタート、レースペースで光るシーンも多い。しかし、角田にはいくつかの懸念材料もある。経験豊富であるものの、彼の「粗さ」は依然として見られ、時折の不用意なミスやクラッシュ、高圧下での冷静さの欠如が問題視されている。特にバーレーンでのクールダウンラップ中に見せた感情的な瞬間は、いまだにその「赤い霧」が完全には払拭されていないことを示唆している。こうした感情は、リードする立場であればコントロールしやすいが、フェルスタッペンの後ろを走る場面となったとき、どのように対応するのかという点が懸念される。
また角田はホンダとの深い関係を持つ背景があるが、ホンダとレッドブルの提携終了後も、ホンダが角田を個人スポンサーとして支援する可能性があるとされ、この点は必ずしも障害にはならない。
一方で、ローソンは過去6年間レッドブルとの密接な関係を築いており、評価も非常に高い。わずか半シーズンの経験で、角田(F1で4シーズン目)と同じ議論に挙がっていること自体、ローソンのポテンシャルが高いとみなされていることを示している。
レッドブルの後継者問題
レッドブルは、フェルスタッペンの未来についても慎重な検討をしている可能性が高い。フェルスタッペンは「長期的なキャリアを望んでいない」と公言しており、2026年の新レギュレーションを楽しめない場合にはF1を去る可能性があるほか、2028年末以前に他チームへ移籍する可能性も完全には排除できない。このため、短期的なフェルスタッペンのチームメイトのみならず、フェルスタッペン離脱に備えられるドライバーを見極める必要がある。