マクラーレンのCEOであるザク・ブラウンが、マックス・フェルスタッペンに向けて警告を放った。「ランド・ノリスはフェルスタッペンとの戦い方を学んだ」というのだ。2024年シーズンにおいて、メキシコシティGPを除けば、ノリスはフェルスタッペンとのほとんどの直接バトルに敗れてきた。フェルスタッペンはアグレッシブかつ、アウト側からは絶対に抜かせない強引なスタイルを貫き、それにノリスが苦しめられる場面が多かったのである。
オーストリアGPやアメリカGPでも、フェルスタッペンは外を完全に塞ぐアプローチでノリスを封じ込めてきた。しかしながら、メキシコシティGPでは一転、ノリスがまったく異なる戦いを見せた。 apex(コーナーの頂点)で先行することでフェルスタッペンの猛攻を封じ、結果としてフェルスタッペンは大きなペナルティを受けることになったのだ。
このノリスの対応は、2021年シーズンのルイス・ハミルトンが見せた戦い方とは大きく異なる。当時、ハミルトンはイモラなどでフェルスタッペンにアウト側のスペースを与えすぎたとされるが、その後はバルセロナでの初回オーバーテイクを機に、ハミルトン自身もアグレッシブな防衛策をとり始めた。いわゆるシルバーストンやモンツァ、さらには初開催のサウジアラビアでの衝突劇が記憶に新しい。
ブラウンは、ノリスがハミルトン級のリスクを負う必要はないと理解しつつも、来季は全く違うノリスになると期待している。ブラウンはメディアに対し、次のように語った。
「ランドはマックスとのレースの仕方をたくさん学んだと思う」
「マックスがどういうレースをするのか、つまり“アウトから仕掛けてこようとするなら、絶対に通さない”というスタイルをとるのだとは、本人もオープンにしていると思う」
「メキシコではランドが見事な戦いを演じたと思うが、同時に接触は避けて、チームのコンストラクター争いにも集中できたのである」
「ルイスも最終的には、これ以上やると二人とも痛い目にあうかもしれないと気づいたのだ。今のわれわれにはそうしたリスクを取る余裕がない」
「だからこそ、ランドは正しい判断を下したのだと思うし、マックスとの戦い方をすでにつかんでいると思う。それゆえ、来年はまったく違う戦い方をするだろう」
こう語ったブラウンは、ノリスのさらなる成長を確信している。来季のノリスとフェルスタッペンの再戦には、厳しい争いが繰り広げられるのは間違いないだろう。スポーツの宿命対決がまた一段と激しさを増し、ドラマチックな展開が待ち受けているに違いない。