
昨年末より「アストンマーティンがマックス・フェルスタッペンに対し、10年間で総額10億ドル(約1,533億円)という契約条件を提示し、レッドブルからの引き抜きを画策している」という噂が出ている。この噂を裏付ける証拠はなく、アストンマーティン側もこれを否定している。
それでも、この移籍話が真実味を漂わせ、話題になり続けているポイントは、アストンマーティンがエイドリアン・ニューウェイという交渉材料を持っていることだろう。ニューウェイはこれまでマシンの設計開発を任されたF1チーム全てで成功しており、フェルスタッペンの4連覇にも貢献した。さらに4連覇をへの道を共に歩んだホンダも加わることは魅力の一つになっている。
もしニューウェイが「10年間は絶対に辞めず、アストンマーティンでチャンピオンマシンを作り続ける。」と約束すれば、フェルスタッペンは躊躇することなくレッドブルを離れるだろう。13歳からフェルスタッペンを支えたヘルムート・マルコ博士は83歳となり、そろそろリタイヤする時期を迎えるとすれば、レッドブル側がフェルスタッペンを引き留める材料は殆ど残ってないかもしれない。

また一方で、2024年に低迷したアストンマーティンが、マクラーレンやフェラーリ、メルセデス、レッドブルと戦うためには、明らかに現ポジションから数ステップのジャンプが必要になる。2026年のレギュレーション変更に向けて、ニューウェイのアイディアと技術がどこまで発揮されるか、そしてホンダのパワーユニットが成功するかどうかが鍵となる。だが2025年はたいていのチームがそうであるように、アストンマーティンは2026年のレギュレーション対応に多くのリソースを割くとみられ、2025年に成功の前兆を見せられる可能性は低い。つまり、フェルスタッペンが2025年にアストンマーティンのマシンを覗き込み、チームの状況をいくら観察してもポジティブな材料は見出せないだろう。
フェルスタッペンはF1で13年目、レッドブルで10年目。フェルスタッペンのファンも、そろそろ違ったチーム、マシンでのチャレンジを見たいのではないだろうか。