
オランダGPの週末、金曜日は決してレッドブルにとって良いスタートではなかった。しかしマックス・フェルスタッペンは予選で奮起し、当初はトップ5入りすら難しいと見られた中で3番手を獲得した。決勝でも、1周目のターン3でランド・ノリスに仕掛けた攻めの動きが光り、オスカー・ピアストリの後ろに食い込む走りを見せた。
外側のダスティなラインに飛び込み、一瞬マシンが大きく振られながらも立て直した場面は、チーム代表のローレン・メキースをも驚かせた。
「スタートは正直、悪くなかったんだ。ターン1で外側に行ってみて、さらにターン2でも狙った。でもあのコーナーは路面の真ん中から外側にかけて砂が多い。ソフトタイヤだったけど、強く攻めた結果ターン3の進入で少し横に流れてしまった。でも大丈夫だったよ。少しは楽しみたかったんだ。その後は自分のペースで走ったけど、結局ランドに抜かれてしまった」
「見ての通り、彼らは次元が違う速さだった。必死に守って自分のレースを壊したり、2〜3周無駄にする意味はないんだ。残念だけど仕方ない」
この大胆なトライに、メキースもピットウォールから驚きを隠せなかった。
「毎日一緒に仕事をしていても、あの瞬間は驚かされた。どうやって仕掛けて、どうやってマシンをコース上に留めたのか、誰もが言葉を失ったよ。スパのスプリントでマクラーレンを抜いた時と同じだ。チャンスは一度きりと分かっていて、全てを賭けた。改めて素晴らしいとしか言えない」
さらに、グリッド上でメカニックがフロントウイングを触っていた理由についても説明した。
「フロントウイングの一部を確実に固定する必要があったんだ。フラップの端に小さなガーニーがあって、それが少し動いているように見えた。だからしっかり補強して出走させたんだ」
戦略面では、レッドブルはソフトタイヤをスタートと終盤のセーフティカー後に投入する積極策を採った。マクラーレン勢に挑むための唯一の手段と考えたからだ。しかしその代償としてデグラデーションが大きく、序盤はイサック・ハジャーにぴたりと付かれる展開となった。
「結果は受け入れるよ。予選は良かったけど、もっと欲しかったのも事実だ。ただ、すぐにレースペースが足りないと分かった。1周の速さよりも、タイヤの挙動やマシンの扱いで苦しむんだ。結局は前を見るより、後ろから追ってくるマシンと戦うことになった」
「金曜の時点で考えたら、この戦略がベストだった。もちろんセーフティカーが入れば全員タイヤを交換する必要がある。でも僕にとっては全て予定通りだった」
メキースも同調し、選択の背景を語った。
「複数の要素があった。マクラーレンと戦える可能性は、ソフトスタートしかなかった。トップ10で新品のソフトを持っていたのは僕たちだけだったし、他のチームは仕掛けづらい状況だった」
「さらに、金曜の走行でマックスはハードタイヤに満足していなかった。だからミディアムからハードへ繋ぐ戦略は魅力的じゃなかったんだ。ソフトからミディアムは非常に攻めたプランだったけど、それが最善と判断した。もちろんソフトの後半は厳しくなるが、マックスは見事にやり切った。普通の展開ならソフト-ミディアムでも走り切れただろう」
攻めの戦略とリスクを背負いながらも、フェルスタッペンは地元オランダの観客に力強い走りを見せつけた。