F1界に衝撃が走った。レッドブルがクリスチャン・ホーナーをチーム代表職から解任し、後任にローラン・メキースを任命。さらにメキースが務めていたVisa Cash App RB(VCARB)にはアラン・パーマンが就任するという大規模な人事が発表された。

ベルギーGPが発表後初のF1週末となり、レッドブルのマックス・フェルスタッペンと角田裕毅がそれぞれの思いを語った。二人はホーナーへの感謝を述べるとともに、新体制への期待も口にした。

角田裕毅にとっては朗報だった。彼はメキースとVCARBで既に良好な関係を築いており、馴染みある人物の昇格は大きな安心材料だ。

―マックス・フェルスタッペン「正直、よく分からない。結局のところ、経営陣や株主が変化を望んだということで、それは彼らの権利だ。僕はドライバーなので、決定が下されたら従うだけだ。それに尽きる。ただ、今こうして座ってみると、レッドブルでの20年を振り返る機会になる。素晴らしい年月と結果を残したと思う。もちろん、うまくいかなかった時期もあったし、ここ1年半は僕たちが望んだ形ではなかった。だから、経営陣は舵を切る決断をしたのだろう。僕自身、ローランとは既に何度か会っていて、かなりタイトなスケジュールの中でも熱心に動いていた。今後が楽しみだ。彼のやる気が伝わってくるし、そういうのは好きだ。新しい立場だけどワクワクしている。エンジニア出身という点で、クリスチャンとは異なる背景を持っているが、それもチームにとっては強みになると思う。ただ、2週間で劇的な変化があるとは言えない。時間が必要だし、僕たちは常に改善に向けて努力している。

「振り返ることに意味はない。速くなるわけじゃない。でも、この20年は評価されるべきだし、僕自身のレッドブルでの10〜11年は特別なものだった。クリスチャンとの関係も変わらない。もちろん今は週末に彼がいないけど、僕にとっては家族みたいな存在だ。ローランと何を話したかは僕らだけのことだ。とにかく、彼はとてもいい人で、頭のいい人物だ。F1パドックの様々な場面を経験してきたことも役立つと思う。

知らせを受けたのは半日くらい前だったかな。株主とは良好な関係なので、発表前に一部の人には知らせるのが普通だろう。驚いたかって? この世界ではこういうことが起きるのは珍しくない。電話一本で終わったわけじゃなく、しっかり話した。内容は明かさないが、『君たちがそう判断したなら、そう進めよう』と答えた。クリスチャンとも話した。チームの士気は? 良好だと思う。最初は『何が起きてるんだ?』という雰囲気だったけど、翌日にはファクトリーに行ってシミュレータ作業に集中した。結局のところ、僕の仕事はパフォーマンスに集中すること。エンジニアも同じだ。やるべきことをやるだけだ」

―角田裕毅「改めて語ることはないけど、クリスチャンがいろんな場面で僕をサポートしてくれたことに感謝している。昨日もメッセージをもらって、『自分の力を見せてこい』と励ましてくれた。いいメッセージだった。ローランとはVCARB時代から知っていて、いい関係だった。今季もいいスタートを切れたし、信頼関係もあったので、また一緒に仕事ができるのが楽しみだ。アランにはおめでとうのメッセージを送ったばかり。彼もモチベーション高いし、どうなるか楽しみだ。まだ加入から2週間なので変化はないけど、これからいろんなことが見えてくるはず。関係を新たに築かなくてもいいのは大きい。VCARB時代に戻ったような感覚もあるけど、これは別の道だ。

正直、驚いた。レッドブルは20年間ずっとクリスチャンと歩んできたわけだから、チームにとっては大きな変化だ。僕は長くレッドブルにいるわけじゃないから全ては分からないけど、ローランがVCARBで得た経験や成果をチームにもたらしてくれると期待している。第三者の視点を持つ人が入ってくることは、いい意味での刺激になる。クリスチャンもクルマに関して多くを理解していたけど、ローランはエンジニア出身という強みがある。弱点を理解し、チームメンバーから直接情報を集める姿勢は非常に頼もしかった。彼ならきっとうまくやってくれる。ホーナーについては、その日ヘルムートから聞かされた。それ以上は僕の関与する部分ではない。僕は走ることに集中するだけだ」