レッドブル7戦目となる角田は、またしてもレッドブルのマシンと格闘することを強いられ、バルセロナGPでは最下位スタート、決勝13位に終わった。マックス・フェルスタッペンは決勝前に、角田裕毅を擁護し、問題の矛先をレッドブルの環境に向けたこと示唆するコメントを発している。

ガスリー、アルボン、ペレス、ローソン、角田~その実力を認められてレッドブルのシートを得たF1ドライバー達が、フェルスタッペンに匹敵する走りを見せられない状況は、5人目ともなると不可解にみえてくる。歴代のチャンピオン達がチームメイトを上回ってきたような優位性とは異なり、何か不自然に大きなギャップが築き上げられてしまう。この先何度ドライバーをスイッチしても問題は解消しないようにみえる。また、この状況ではレッドブルのシートに座りたいと思うドライバーもあまり居ないだろう。

フェルスタッペンは、角田が苦しんでいる状況は、ドライバーの実力ではなく、マシンをはじめ環境に起因する問題だと示唆している。

「彼(角田)はパンケーキじゃないだろう?(やられっぱなしの平凡、無力な存在じゃないだろう?)(He’s not a pancake, right?)」

フェルスタッペンはオランダDe Telegraaf紙に対し、角田の苦戦について問われた際に答えた。

「彼は、レーシング・ブルズでは、ハジャーと比べていつも速かった(When he was in those Racing Bulls, he always looked good compared to Hadjar)。でもこれが現実だ。これ(レッドブルのチームメイトが低迷すること)は長い間続いていることだ。もしかしたら、これも何かのサインなのかもしれない。何のサインか?それは自分で考えてみてくれ」

フェルスタッペンが「サイン」と呼んだのは、レッドブルにおいて、フェルスタッペンのチームメイトたちが継続的に苦戦しているという事実が「構造的な問題の兆候」であるという意味を含んでいる可能性がある。つまり、「毎回僕のチームメイトが苦戦するのは偶然ではなく、チームの中にそうならざるを得ない仕組みやバランスがあるのではないか?」という皮肉、あるいは批判を含んだ示唆だと考えられる。

また「チームが一方のドライバーを意図的に支援している」という見方――つまりナンバーワン待遇と“その他のドライバー”の格差を示す政治的な兆候だと捉えている可能性もある。これまでレッドブルのセカンドドライバーがことごとく苦戦してきた経緯(ガスリー、アルボン、ペレス、ローソン)を踏まえ、環境がフェアじゃないのでは?という問いかけを、“サイン”と表現しているとも考えられる。

角田の後任として最有力と話題になりつつあるのは、レーシング・ブルズのルーキー、イザック・ハジャーだ。だが、オランダの元レーシングドライバー、トム・コロネルは、ハジャーがフェルスタッペンの次のチームメイトに昇格した場合を案じて、ジョーク交じりに警鐘を鳴らす。

「必要なのは1人じゃない、10人の精神科医だよ。ルーキーにそんな仕打ちはもうやめてくれ。こんなケース、もう何度も見てきた。そして、それは彼らのキャリアの終わりを意味するんだ」