ブラジルGPで発生したオスカー・ピアストリへの10秒加算ペナルティを巡り、各専門メディアで議論が再燃している。対象は、セーフティカー明け間もない6周目にメルセデスのキミ・アントネッリをイン側から攻略しようとした場面で接触が起き、連鎖的にシャルル・ルクレールのリタイアを招いた一件だ。
これを妥当とする側の根拠は明確である。スチュワードはピアストリのブレーキロックと進路維持の失敗を認定し、接触の第一次原因はピアストリにあると結論づけた。結果として10秒加算とライセンス2点のペナルティが科され、最近の先例とも整合的とされた。二次接触でフェラーリの被害が決定的になったことも、過失の重さを裏づけたとなった。
一方で、裁定が過酷すぎるとの見方も根強い。ルクレールはピアストリに全責任はないと擁護し、アントネッリ自身も幸運だったと述べている。ピアストリは「十分に並び、逃げ場がなかった」と反論しており、レーシングインシデントと捉える余地を示した。論点は、常時車幅1台分のスペース確保義務と、オーバーラップの成立基準をどう解釈するかに収れんする。各メディア、SNSでも意見は割れ、判定の厳格化を是とする声と、ドライバーの闘争心を萎縮、躊躇させるとの懸念が対立している。いずれにせよピアストリの痛手は大きく、ノリスとのポイント差を広げられた。残る数戦での巻き返しが、今年のタイトル物語を左右する鍵となる。

