
スペインGP、ヒュルケンベルグは2019年以来となる5位フィニッシュを手にした。スペインGP予選でQ1敗退という屈辱を味わったヒュルケンベルグは、スタート位置が16番手(ランス・ストロールの棄権により実質15番手)となったことについて、こう語った。
「かなり悔しかったよ」
ザウバーはこのバルセロナに、フロア、エンジンカバー、フロントウイングの改良など、大量のアップグレードを投入していた。だが、チームのパフォーマンス不足を解消するには力不足のようにも見えた。
それでも、日曜の決勝で状況は一変した。スタート直後の混乱のなかでコース外に飛び出しながらも、1周目終了時にはすでに10番手に浮上し、さらにフレッシュなタイヤを大量に温存していた。
「最高のレースだった。たまにすべてが噛み合って、完璧に進む、そういうレースってあるだろ? 今日はまさにそれだったんだ。そんな日は滅多にない。でも今日はその日だった」
「前からスライドしてくるクルマがあって、たぶんガブリー(ボルトレート)と僕はターン2を回避しなきゃならなかった。誰のクルマだったかはよくわからない」
「そのあとフェルナンドともちょっとバトルしたと思う。1~2周くらいかな。でも最後には彼をねじ伏せた。いいスタートだったよ」
さらに彼には、まだ切っていない“切り札”が残っていた。
「Q1で敗退したおかげで、フレッシュなタイヤがたくさん残っていた。それが今日は本当に役立ったんだ」
「16番手スタートだったけど、1周目であの走りができたことで、一気にレースがリセットされた。そして僕たちは好結果を狙える位置に飛び込めた。終盤のセーフティカーと、もう1セットのソフトタイヤが決定打になった。本当にうれしいよ。アップデートでパフォーマンスが向上したからこそ、自分たちを助けることができたんだ」
アップグレードの効果についても、ヒュルケンベルグは好意的な見解を示した。
「テクニカルディレクティブ(TD)で、フレキシブルウイングの規制が入ったけど、正直言って僕らにはあまり影響なかった気がする。他のチームの方がダメージを受けてたかもしれない。高速コーナーでの感触は特に変わらなかった。そもそも僕らはその領域が得意じゃなかったし、だからこそアップデートが効いたと思ってる」
こうしてヒュルケンベルグは、2019年のイタリアGP以来となる5位フィニッシュを果たした。だが、彼はまだ今後の展望を語るには早すぎると慎重な姿勢を見せた。
「まずはこの結果を受け止めて、喜びたい。それが一番だ。すごく甘美な瞬間だよ。今季2回目のポイント獲得だけど、メルボルン以来、ずっと苦しかった。この結果で、僕たちは中団グループの中で明確に位置づけられたと思う。」
「予選では、すべてが完璧じゃないと戦えないくらい厳しい。でもレースでは、これからもっと他の連中と競り合っていけるようになると思う。P5っていうのは……普通の展開だったら夢みたいな話だよ」
「でもセーフティカーの前でも、たぶん8位か9位くらいにはつけてたと思う。それでも僕らにとっては本当に素晴らしい結果だったはずなんだ。ファクトリーの全員が、アップデートが機能したことを喜べると思う。僕らにとって必要なことだった。でもここで立ち止まってはいけない。他のチームも止まらない。もっと進化していかないとね」
スペインGPでのザウバーは、ヒュルケンベルグが5位、ボルトレートが12位と、チームとしても好成績を収めた週末となった。

