ハースF1チームが、エステバン・オコンの担当として、F1史上初の女性レースエンジニア、ローラ・ミュラーを就任させた。さらに、戦略部門の責任者(Head of Strategy)には、レーシングブルズチームから移籍したカリーヌ・クリデリッヒが3月1日付で加入。長らく男性中心であったF1の世界に、女性が増えつつある。
※ローラ・ミュラー
レースエンジニアは、ドライバーと密接に連携し、マシンの性能、セットアップ、走行状況を管理する重要な役割を担う。テレビ中継でドライバーと交わされる無線通信の声は、まさに彼らの声である。小松礼雄代表は、F1における多様性の拡大を認めつつ、次のように語った。
※カリーヌ・クリデリッヒ
「女性だから選んだわけではない。国籍も性別も関係ない。重要なのは仕事であり、チームへの適合性、そしてパフォーマンスを最大限に引き出す能力である。たまたま最良の選択肢であったということだ。」
小松代表は、2024年シーズン開幕前にチーム代表に就任して以来、レース運営チームの弱点に気づき、改革を考えていたという。今回、これまで欠けていたチーフレースエンジニアとスポーティングディレクターの役職も新設された。チーフレースエンジニアには、アウディのダカールラリープログラムに携わり、ザウバーとトヨタでF1経験を持つフランチェスコ・ネンチが就任した。
「昨年のトラックサイドチームは最も弱い部分の一つだと感じていた。マシンの競争力が高まるにつれて、その弱点がより顕著になった。シーズン終盤には、我々は5番目に速いマシンを持っていた。しかし、レース運営の面では、コンストラクターズランキング6位でフィニッシュするはずだったのに、そうならなかった。その一因は、トラックサイドのオペレーションから多くのポイントを取りこぼしたことにある。だから、本当にステップアップが必要だった。」
「ハースの歴史を振り返ると、シーズンを通して同じように競争力があったとは言えない。チームがF1のバジェットキャップに達するのに十分な予算を持つのは今年が初めてとなる。限られたリソースで『以上の結果』を出していると言えるチームをさらに向上させたい。他には300人しかいない、あるいはこのような規模の建物で運営しているチームがいるだろうか?もしウィリアムズが本来の力を発揮すれば、彼らに勝てるはずがない。人々がしくじらなくても、実力でそのような相手に勝てる場所にたどり着きたいと考えている。」