ルイス・ハミルトンは、自身がメルセデスを離れる最後のシーズンが、予想以上に厳しいものであったと認めた。このシーズン、彼はフェラーリへの2025年移籍を発表した上で、メルセデスで2024年の全レースを戦い抜くという感情的な挑戦を経験してきた。

ハミルトンは、アブダビでの最終戦を目前に控えたメディアデーで心情を語った。

「今はかなり落ち着いている。前向きで、この週末を全力で楽しむことにワクワクしているんだ。
シーズン中ずっと、毎レースがメルセデスと特定の場所で一緒に戦う最後のレースだと実感してきた。今日もブリーフィングの時点から、これがチームとの最後の瞬間だと気づくんだ。それは言葉にするのが難しい感情だ。
決して最高の気分ではないけれど、僕たちが成し遂げてきたことにすごく誇りを持っているし、このチームに対して大きな感謝の気持ちがある。」

12年間を共にしたメルセデスとの時間を振り返り、彼は最も心に残る瞬間について次のように語った。

「やはり、成功を収めた時の笑顔が記憶に残るね。例えば、あるエンジニアのことを覚えている。2014年にオーストラリアで初勝利を挙げたとき、彼が表彰台の上で涙を流していたんだ。
そういった瞬間や、今年のシルバーストーンでの感動的な出来事。結局のところ、良い思い出が自然と心に残るものだ。僕はただ誇らしいし、これまで支えてくれたすべての人々――サーキットにいる仲間や工場で働いてきた人々――に心から感謝している。」

移籍発表後、シーズンを通してチーム内の関係を維持することの難しさについて問われると、ハミルトンは次のように認めた。

「年初のトト(ウォルフ)との最初のミーティングは、もちろん気まずかった。シーズンが始まった時点から気まずさがあったんだ。翌日にはチームの何人かをペイントボールに連れて行ったんだけど、みんなが僕を狙い撃ちにしてきたよ!
この1年を通じて、多くの感情的な瞬間があった。正直、これが難しい年になるとは思っていたけど、それを大きく見誤ったね。早い段階で関係が緊張することもあり、時間がかかったんだ。僕自身も、自分の感情をうまくコントロールするのが難しくて、本来の自分ではいられなかったと思う。」

彼は、2024年がこれまでで最も感情的に挑戦的な年だったと認めながらも、関係を築いてきた人々への感謝を表明した。

「僕のキャリア全体を見てきた人たちもいるけど、良い面も悪い面もすべて見せてきたと思う。そして、それに対して謝るつもりはない。僕は人間だし、いつも正しく振る舞えるわけではないからね。
でも、良い瞬間と素晴らしい成果が、ネガティブな面を上回ることを願っている。そして僕は、この旅路の中で築いた素晴らしい関係を大切にしたいと思うんだ。
シーズン中はレースの起伏を共にするだけでなく、結婚や離婚、家族を失うこと、がんとの闘いなど、いろいろな個人的な出来事を共有してきた。これが長い旅路の美しさでもあるんだ。」

感情の波を乗り越えながら、ハミルトンは最後の戦いに向けて静かに闘志を燃やしている。