2025年3月、エイドリアン・ニューウェイがアストンマーティンに移籍する。ニューウェイのチーム移籍の歴史は、コンストラクター勢力変化の歴史であり、また2026年はレギュレーションが大きく変わるタイミングとなり、数々のチャンピオンマシンを生み出してきたニューウェイの腕前が再び注目されている。

ニューウェイは、AutoMotor und Sportのインタビューで、2026年型マシンは「エンジン至上主義」となる可能性が高いと語った。

「おそらく、最初はエンジンがすべてを左右するような状況になるだろう。F1の歴史で、シャシーとエンジンのレギュレーションが同時に、しかもシャシーのレギュレーションがエンジンのレギュレーションを補完するように変更された例は、これまでなかった。これは新たな局面だ。」

ニューウェイは、2014年にレッドブルが使用していたルノーエンジンがメルセデスのエンジンに比べて非力だった経験から、今回のレギュレーション変更に対する各チームの警戒心を指摘した。しかし、依然として、ある特定のエンジンが圧倒的な性能を発揮する可能性も否定できないという。

「エンジンメーカーは、メルセデスのライバルたちが前回のレギュレーション変更で経験した準備不足から学んでいるはずだ。しかし、あるメーカーが抜きん出て、少なくとも初期段階ではエンジン性能がすべてを左右するような状況になる可能性も十分にある。」

2026年のパワーユニットでは、内燃機関の出力は750馬力から550馬力に低下する一方で、電気モーターの出力が160馬力から475馬力へと大幅に増加し、両者のバランスがほぼ同等になる。にもかかわらず、ニューウェイは内燃機関こそが鍵を握ると考えている。

「内燃機関に関して言えば、後れを取っているチームが追いつくのは非常に難しい。そのため、あるチームが圧倒的に優れた内燃機関を開発し、レギュレーションが変わるまでその優位性を維持できる可能性がある。電気モーターの場合であれば、後れを取っていても挽回出来る余地はもっと大きい。」

ニューウェイは、レッドブル在籍中にルノーエンジンを搭載していた経験から、エンジン性能がいかに重要かを知っている。2026年のレギュレーションにおいて、シャシーが非力なエンジンを補えるかについては、まだ明確な答えが出ていない。

「2024年の4月末からF1から離れているので、新しいレギュレーションについては詳しく知らない。パワーユニットに関するレギュレーションはしばらく前から変更されているが、シャシーや空力、車両のダイナミクスに関しては、まだよく知らない。だから、これから急速に学んでいくことになる。」