メキシコの高地を駆け抜けた決勝は、ランド・ノリスが圧巻の速さで主導権を握り、そのまま危なげなくフィニッシュした。序盤から中盤にかけてのペース管理、終盤のラップの落ち幅の少なさ、いずれもタイトル争いの主役にふさわしい内容だった。これによりドライバーズ選手権では1ポイント差で首位に浮上し、流れを自らの側へ大きく手繰り寄せた。マクラーレンは戦略面の判断も冴え、ピット作業と路面温度の変動に合わせたタイヤ運用が完璧に近かった。
対するフェラーリは、シャルル・レクレールが確かな仕事で2位を確保した。ポール・勝利こそ手にできなかったが、終始ミスのない周回を積み重ねただ。空力効率を生かしたストレートでの防御、トラフィック下での冷静なエネルギーマネジメントが光った。
一方、選手権リーダーの座を明け渡すことになったオスカー・ピアストリは5位でのゴールにとどまり、「ダメージリミテーション」という言葉が示す通り、状況を受け入れたうえで最大限のポイントを持ち帰った格好だ。決勝ペース自体は悪くなく、次戦に向けて修正可能な課題が明確になったことは救いだ。
選手権はついに主導権が揺らぎ、タイトルレースは残り4戦で最終章に入った。ノリスは勢いを取り戻し、ピアストリは立て直しの糸口を掴む。タイトルの針はわずかにノリスへ傾いたが、フェルスタッペンも35ポイント差で二人を追う。
メキシコGP決勝後 ドライバーズチャンピオンシップ
ランド・ノリス:357
オスカー・ピアストリ:356(-1)
マックス・フェルスタッペン:321(-35)
