
タイが2028年のF1カレンダー入りに向けて、急速にアクセルを踏み込んでいる。
バンコク市街地でのグランプリ開催案は数か月前から報じられており、F1のステファノ・ドメニカリCEOがオーストラリアGP直後にタイへ直行し、ペートンターン・シナワット首相と会談したことで、その計画はより現実味を帯び始めた。さらに4月初旬には、タイ系ドライバーであるウィリアムズのアレクサンダー・アルボンが首相との会談のためにバンコクを訪問。タイ側の熱意と準備状況が明らかになった。
先日のモナコGPでは、シナワット首相がアルボンと共にウィリアムズのガレージを訪れ、マシンのコックピットに乗り込む様子も見られた。さらにドメニカリCEOをはじめとするF1幹部とも会談し、F1関係者との距離を一気に縮めたといわれる。首相はモナコ滞在中に、「今回の訪問でF1計画が大きく前進した」と語った。
ドイツの通信社SIDによれば、タイ政府の報道官が「タイは2028年にF1デビューを目指している」と明言したという。さらに、同国では来週にも内閣に向けた正式な開催提案と実現可能性調査が提出される予定だと報じられている。タイ政府の公式SNSでは、「F1には全世界で6億人の視聴者がいる」と強調し、観光産業とインフラ投資を通じた経済効果への期待も表明した。
一方で、現在のF1カレンダーは24戦と非常に過密であり、リバティ・メディアと各チームは25戦目の追加は難しいという見解を共有している。F1はすでに一部グランプリサーキットを年間ローテーション制にする案を検討している。中でも、カナダGPの将来は危機を指摘されているという。
タイGPの動きについて報じたカナダのル・ジュルナル・ド・モントリオール紙は、F1と地元プロモーターとの契約延長交渉が「完全に停滞している」と今月報道していた。
このモントリオール紙の記事タイトルは「タイの脅威が明らかになっている(The Thai threat is becoming clearer)」だった。