アストンマーティンのランス・ストロールは、スペイン・バルセロナでのプラクティスと予選に参加したが、その後、手首と手の古傷を理由に棄権した。ストロールは2023年、自転車事故で手首を骨折し手術を受けていた。アストンマーティンによれば、その後の経過に問題が生じたため、再び緊急手術が必要になったという。

しかし、実際には予選14位を記録した直後、ストロールは義務付けられている予選後の計量手続きにすぐには応じず、5分ほどガレージにとどまっていた。この間、ストロールが激怒し、チームスタッフに暴言を吐いたうえ、いくつかの備品を壊していたという報道や噂が浮上している。

アストンマーティンは、ストロールが感情的になっていたことを認めながらも、今回の手首の負傷や棄権との関連は一切ないと否定している。なお、予選終了後の棄権だったため、チームはリザーブドライバーを起用することができなかった。

現在、一部ではストロールが2週間後の母国GPであるモントリオールも欠場するとの噂が広がっている。代役としては、リザーブドライバーのフェリペ・ドルゴビッチが有力視されているが、彼はその週末、ル・マンでのレース出場が予定されている。

アストンマーティンのチーフ・トラックサイド・オフィサー、マイク・クラックはメディアの取材に次のように語った。

「今後数日でどうなるか、様子を見る必要がある。私が知っている限りでは、これから追加の検査と診断が行われる予定だ。カナダに関してはシンプルだ。プランAはランスをマシンに乗せること。それが無理ならプランBが必要になるが、まずはプランAが実現できるように取り組んでいく。まだ代役については考えていない。まずは数日様子を見て、それから決断する」

一方でAuto Motor und Sportは、ストロールが6週間も痛みに苦しんでいたのなら、なぜチームは予選終了後(リザーブ起用が不可能になったタイミング)に、棄権を決断したのかという点に疑問を呈している。

さらにBild紙は、ストロールが長年にわたり様々な論争に取り巻かれてきたと報じている。

彼は、父親ローレンス・ストロールがチームオーナーという特異な環境で「甘やかされ」、「F1で走るために必要なモチベーションに欠け」、「そもそも才能が足りない」との批判が絶えない。ランス・ストロールはいずれドライバーを辞めて父親のビジネスを引き継ぐのだろうといわれるが、今のところ、父親が介入する気配はないとも伝えている。