
モナコGPでは2回のピットストップが義務化され、レーシング・ブルズとウィリアムズは、このルールを最大限活用する方法として、一台を意図的にペースダウンさせて後方にギャップを生み出し、もう一台が2度のピットインを済ませられる状況を作り出す戦術を採用した。レーシング・ブルズのイザック・ハジャーとリアム・ローソンはそれぞれ6位と8位でフィニッシュし、ウィリアムズはアルボンが9位、サインツが10位でゴールした。
レース後、サインツはこの戦術について「誇れるものではない」とコメントし、今後こうした状況が起きないように制度の見直しを求めた。
「最初に被害を受けたのは僕たちで、ローソンがわざと40秒もイザックとの間にギャップを作って、イザックが2回ピットストップをして僕らの前で戻り、最終的に5位でフィニッシュしたんだ」
「僕らがその戦略の犠牲になったことで、最終的には僕とアレックス(アルボン)が同じことをしなければならなかった。二人のマシンをポイント圏内に持ち込むために、同じようにスローペースで集団をコントロールしたんだ」
「正直言って、こんなことは全く楽しくなかったし、F1はこの問題に真剣に取り組むべきだと思う。結果的に、本来出せるペースよりも2~3秒遅く走っていた。レースを操作して、その結果を意図的に変えてしまっている」
「このままじゃ、こういうことが今後どんどん増えていく気がしているし、ここ数年でも似たようなことがトレンドになり始めている。だから、こうした戦術が成立しないような仕組みを作る必要があると思う」
「二回ピットストップの義務自体は、ピットウィンドウ周辺で多少レースを活性化させる効果はあったかもしれない。でもその結果として、僕たちは2度もスローペースでのドライビングを強いられた。それはこのスポーツにとって、あまりに見苦しい姿だった」
「今日みたいにあからさまだと、レースの結果を操作するような行為は認められるべきじゃないと思う。だから、何人かのドライバーで話し合って解決策を探るべきだと思う。もしそれが難しいなら、FIAと一緒に何かアイデアを考える必要がある」
アレックス・アルボンも、今回の展開には不満を隠さず、サインツと同様にレーシング・ブルズに対応する“必要悪”だったとしつつも、F1にとっては有害な戦術だったと語った。
「僕も、サインツも、他の誰も、あんな風にレースをしたいなんて思っていない。ファンにとってひどいショーだったのは分かってるし、その結果として何人かのドライバーを怒らせてしまったことも理解している。あれを見ていた皆さんには謝りたい。」
「正直言って、僕たちはあんなことをやりたくなかったし、最初からやるつもりもなかった。でも、木曜日の段階でこういう展開になると分かって、実際にレーシング・ブルズが始めてしまったから、僕たちもやらざるを得なかったんだ。「あの箱詰め戦略をやられたら、自分たちも同じことをしないといけなくなる。だから、申し訳なく思っている。」