シンガポールGPの後、ウィリアムズのカルロス・サインツは、F1中継の演出に関する発言でSNS上に波紋を呼んだ。スペインのラジオ番組で、FOM(フォーミュラ・ワン・マネジメント)がレース中の映像演出において、オン・トラックのバトルよりもオフ・トラックの場面ばかりを映していたと指摘したのだ。

サインツは、自身の10位までの追い上げを強調するとともに、フェルナンド・アロンソとルイス・ハミルトンのバトルなど、もっと映すべき戦いがあったと語った。
しかし、彼の目には、FOMがドライバーの彼女たち(いわゆるWAGs)を映す時間の方が多かったように映った。SNS上ではファンの多くがこの意見に賛同したが、FOM側は「常にバランスを取っている」として反論し、「中継の焦点はあくまでレースそのものにある」と説明した。

「僕はFOMに答えを求めていたわけじゃないんだ」とサインツは語った。
「いつもそうなんだけど、僕のコメントは少し大げさに伝わってしまうんだ。『ガールフレンド』とか『WAGs』という言葉を使ったことで、ちょっとスパイスが効きすぎて世界的に拡散してしまった。でも本当に単純な批評だったんだ。シンガポールでは放送の出来が良くなかったのは明らかだと思う。」

「他のレースでは、彼らは素晴らしい仕事をしていて、トラック上の素晴らしい瞬間をしっかり見せてくれる。でも今回は違った。僕だって週末によって良い走りをする時もあれば、そうでない時もあるだろ? メディアのみんなが僕の走りを評価して、ある時は『10点満点中4点』とか言うし、また別の時は『10点満点中10点』だって言う。みんなが自由に意見を言う権利があるんだ。」

「僕にとって、シンガポールの中継は十分じゃなかった。多くのバトルを見逃してしまったのが残念だった。でも、それは彼らの仕事全体を批判しているわけじゃない。あくまで“この1戦”に関しては良くなかったということだ。あのサーキットはオーバーテイクが難しい場所なのに、その貴重なバトルが映らなかったのは本当に惜しい。」

「当時、僕は“ガールフレンドたち”のことを言及したけど、今振り返ると、実際に彼女たちが映っていた時間はそれほど長くなかったと思う。ただ、その時の放送はランダとマックスにフォーカスしすぎていたんだ。まるで何かが起こるんじゃないかという期待を煽るようにね。でも実際には何も起きなかった。だから、FOMの人たちが僕の発言を個人的に受け取っていないといいな。ただのシンプルな批評で、シンガポールの演出が良くなかったというだけの話なんだ。」

そう語ったサインツは、話題を転じてF1のスプリントウィークエンドについての考えを明かした。

「よく考えないといけないんだ。スプリントの週末では、金曜の段階でもう翌日の予選に備えないといけない。食事や準備の仕方も変わる。でも僕は嫌いじゃない。オースティンはスプリントをやるには良いトラックだと思う。去年のスプリントは、ランダ、シャルル、ラッセルとずっとバトルしていて、僕にとって最も楽しいスプリントだった。スプリントはそうあるべきだと思う。オーバーテイクがあって、戦いが生まれる。それがいいんだ。フォーマット自体をもっと変える必要があると思うし、ステファノ(・ドメニカリ)もその点では前向きだと思う。」

「今のスプリントは、正直あまり好きじゃない。なぜなら、日曜の第1スティントがどんな展開になるかを“事前に見せてしまう”からだ。予選もほぼ同じ形式で、日曜も似たような展開になる。少し燃料が軽いだけで、タイヤも同じ。僕としては、スプリントが日曜の展開をバラしてしまわないように、もう少し違う仕組みにしたい。」

その上でサインツは、自身が考える改善案のひとつとして「スプリントレースでは全員にソフトタイヤの使用を義務付ける」案を提案した。これにより、日曜レースの戦略を隠したままスプリントを楽しめるという。

「簡単なアイデアだけど、全員がスプリントでソフトタイヤを使うようにすればいいんじゃないかな。ソフトはデグラデーションが高いし、レースの第1スティントで使うことは滅多にない。短期的な解決策としても悪くないと思う。それに、僕らは毎週、使わないソフトタイヤを5セットも捨てている。予選で1周だけ使って、あとは倉庫に戻すだけ。もったいないよ。」

「もちろん、それだけじゃ足りない。もっと刺激的な要素が必要だと思う。スプリントレースはフォーマットを試す良い機会なんだ。違うことをやってみて、うまくいけば続ければいい。うまくいかなければ、また変えればいいんだ。僕はリバースグリッドの大ファンではないけど、今回は“試してみる価値はある”と思う。」

「スプリント予選の方も変えられると思う。たとえばSQ3で“スーパーポール”形式を導入して、上位10台が1台ずつアタックするようにするとか。とにかく週末に変化をつけることが大事だと思う。いろんなことを試してみて、もしうまくいけばそれでいいし、失敗しても怖がらずに認めればいい。『今回はダメだったね』って言って、また新しいことを試せばいいんだ。」