
キャデラックF1が、F1エントリーの正式承認を受けた。チームは、2026年のF1参戦に向けた準備において「アメリカ人ドライバーと経験豊富なF1ドライバー」のペアを起用する方針とされている。
インディカーで活躍する「コルトン・ハータ」がアメリカ人枠の有力候補とされる一方で、「経験豊富なドライバー」枠には様々な名前が浮上している。F1公式Xへの投稿で挙げられたドライバーについて比較してみる。
Two more seats just opened up for 2026… 👀#F1 pic.twitter.com/s4y2oVRGtQ
— Formula 1 (@F1) March 7, 2025

バルテリ・ボッタス(F1参戦:247戦、優勝10回)
F1での優勝10回の経験を持つボッタスは、2024年末にザウバーのシートを失い、2025年はメルセデスのリザーブドライバーとなったが、キャデラックF1の参戦決定により、2026年シーズンからの復帰の可能性が高まっているといわれる。スカイF1の記者テッド・クラヴィッツ氏は「バルテリ・ボッタスは今ごろ踊っているだろう。候補の一人になる。メルセデスは彼を2025年に手放すことも可能だ。間違いなく有力な選択肢の一つになるだろう。」とコメントしている。
角田裕毅(F1参戦:90戦、最高位4位)※2025年F1開幕前
F1で5年目を迎える角田は、トップグループに見劣りするRBのマシンでも、トップ10圏内に食い込む速さがある。何故かミスを犯した瞬間が大きく取り上げられるが、完走率が低いということはない。予選の強さやオーバーテイクは非常に魅力的なドライバーである。トップ争いの経験が無いことが、ボッタスらと比較してマイナス要素になるだろうか。2025年でレッドブルグループから放出されるとみられており、本人にとっても、キャデラックF1のシートは魅力的な選択肢に見えるだろう。
ダニエル・リカルド(F1参戦:258戦、優勝8回)
リカルドは2024年終盤でRBのシートを失い、今はレースから離れてワインブランドに熱心なように見えるが、F1をドライブするチャンスがあれば考え直すだだろうか。新興チームとはいえ、下位で苦しむことが運命づけられているプライベーターではなく、リソースの豊富なGMであれば話は変わってくる。レッドブル待遇の為に見劣りする印象が付けられてしまったが、優勝8回、ベッテルやフェルスタッペンらとトップ争いをしてきた経験は、キャデラックにも魅力的に見えるだろう。
周冠宇(F1参戦:68戦、最高位8位)
F1(アルファロメア、ザウバー)で3年参戦したのち、2025年はフェラーリのリザーブを務める周冠宇(ジョウ・グアンユー)も、2026年の復帰を熱望している。キャデラックF1が当面の間フェラーリのエンジンを使用する関係から、周にとって有利な展開になるだろうか。キャデラックF1の代表は周の元マネージャーでもある。さらに、強力な中国企業スポンサー支援も魅力的な要素だ。また、昨年夏には「周冠宇が2025年のハースのシート獲得のために3000万ユーロ(約48億円)の資金を用意」との報道もあったが、本人は「大げさに誇張されている」と笑い飛ばしていた。
セルジオ・ペレス(F1参戦:285戦、優勝6回)
ペレスは優勝6回。2024年でレッドブルのシートを失い、2026年のF1復帰を模索しているとみられる。レッドブルで過ごしたシーズンは、マシンに馴染めず、こちらもレッドブルの待遇によってピークを過ぎた、見劣りする印象が刷り込まれてしまったが、戦績を見れば経験豊富な速いドライバーであることは間違いない。ペレスもまた、豊富なスポンサーを有しており、長年支援を受けているカルロス・スリムの大手通信事業者エスクデリア・テルメックスやその他のメキシコ企業が後押しをする可能性が高い。
アレックス・パロウ
インディ・カー参戦5年で3度のチャンピオン、インディ・カー2025年の開幕戦も優勝している、アレックス・パロウは、マクラーレンF1でリザーブの経験があるほか、日本のスーパーフォーミュラー(選手権3位)、スーパーGTや、キャデラックのマシンでWEC(世界耐久選手権)、ル・マン24時間レースなどへ参戦した経験を有する。27歳にも関わらず、文句のつけようがない、経験豊富な強いドライバーだと言える。本人がインディカーを離れる選択をすれば、アメリカでのF1人気(スポンサー)や、アメリカチームへのフィットも含めて強力な候補になるだろう。