ピエール・ガスリーは、2023年や2024年のようにシーズン後半に巻き返すことは、今年のアルピーヌには難しいと考えている。チームが早い段階で2026年への集中を決断しているからだ。

アルピーヌのようなチームにとって、技術規則が大きく変わる前年は割り切りの年となる。2026年から新たなパワーユニットを使用することが決まっているフランスのF1チームは、2025年のマシン開発に本腰を入れない方針を選んだ。もちろんアップデートは投入するが、上位に食い込むような大規模な開発は行わない。

この方針はドライバーとも共有されている。ガスリーも、どのF1週末においてもQ1敗退の可能性があることを理解している。ライバルたちがパフォーマンスを引き出している中で、自分たちは厳しい状況にあるのだ。それでも、アルピーヌは時折、光る走りを見せてきた。

「全体的に僕らはグリップ不足でスライドが多いんだけど、新しいタイヤだと一瞬だけ良いパフォーマンスが出せることもある。でも、レース中のようにタイヤの劣化が激しくて気温が高い状況だと、全体を通して戦えるような状態じゃないんだ。今は予選に入る前から、Q1でノックアウトされる可能性が高いと分かっている」

「だからこそ、マシンの中では自分のベストを尽くして、他の誰かが少しでもミスしてくれるのを願っているんだ。そしてなんとか次のセッションに進みたいと思ってる。予選ではマシンから多くを引き出せていると感じてるけど、それでも運転はすごく難しい。とにかく限界までプッシュするしかない。僕らにできるのはそれだけだから」

「僕らは明らかに中団グループの中でも後ろの方にいる。だからリスクをとって、毎週末すべてを試すしかない。チームが今年の初めから2026年に注力することを決めていた理由は分かっているし、僕もその判断には完全に賛成してる。ただ、それは他チームほど今のマシンを開発していないことも意味していて、今年はどうしても不利になっている」

「でも、その分、来年には良いリターンがあるはずだ。正直に言うと、僕自身はあまり気にしないようにしてる。ドライバーとしてやるべきことは分かってる。競争力を持ち続けること、自分自身をアスリートとして高めること、ハードに取り組むこと、チームを鼓舞すること、マシンとセットアップに集中すること。とにかくみんなを前向きにできるように心がけてる」

「もちろん、外の騒がしさや雰囲気が助けになるとは限らない。パフォーマンスが足りないのは全員にとってフラストレーションだよ。でも、僕はみんながどれだけ努力しているか、どれだけ正しいことをしようとしているかをちゃんと見てる。だからこそ、僕が率先して見本を示さなきゃいけないと思ってる。そして、長期的な視点では、確かに年末までの間に何ポイント取れるか分からないし、チャンスが何度あるのかも分からない。数カ月先に何が起きるかも分からない。でも、工場で見ている限り、来年に向けての準備はすごく良い感じだ。マシンがどうなるのか、見るのが待ちきれないよ」

「でも、今は目の前の戦いに全力で立ち向かうしかないんだ。正直に言うと、僕らは最下位争いから抜け出せるのか?と思ってしまうよ。 もちろん戦うつもりだ。でもそれが実現可能かって言われたら、人によって答えは違うだろうね」