角田裕毅の2025年前半は、荒天の逆風と、小さな希望の光が交互に差すシーズンだった。直近のオランダGPで9位に入り、実に8戦ぶりの得点。苦しい局面で拾った2点は、数字以上に大きい意味を持つはずだ。本人もファンも一息つけたといったところだろうか。

しかし、15戦を終えて、決勝でポイントを獲ったのは4戦(バーレーンP9/マイアミP10/エミリア・ロマーニャP10/オランダP9)。決勝でのポイント獲得率(スプリント除く)は26.7%だ。合計12ポイントで、ランキングは19位にまで落ちた。もはや後ろにはノーポイントのコラピントとドゥーハンしか居ない。開幕2戦はレーシングブルズ、以降はレッドブルのシートで戦ってきたことも今季の文脈として外せない。もし3戦目以降もレーシングブルズのマシンに乗っていれば、ランキング10位となったハジャーと良い勝負になっていただろうか。

オランダのレース後、角田はこう語っている。

「今はP9に満足だ。久しぶりにポイントに戻れて自信になる。終盤にパワーを失う大きな問題が出て、セーフティカーのタイミングも最悪だったけど、集中を切らさず適応して走り切った。」

この言葉どおり、今季の角田は、運に恵まれない崖っぷちから状況対応力でポイントをもぎ取っている。前半は戦略やイエローフラッグ/セイフティカーの巡り合わせで順位を落とす場面が続いた。それでもデビュー当初に指摘されてきた粗さは影を潜め、自らのミスでポジションを落とすレースは無くなった。スプリントでの拾い点や、終盤の守りで粘り勝ちする場面は、ポイントを積み上げられる強いドライバーの片鱗だ。

もはや課題は明確だ。決勝のスタート位置を引き上げて、中団のトラフィックに取り込まれず、序盤でポジションを守ること。そして中盤スティントのペース維持だ。モンツァ以降はハイ/ローダウンフォースの両極が続く。予選でQ3の常連になり、決勝でP7〜P8圏を確保できれば、ポイントは自然と積み重なる。ポイントを稼ぎながら上位に出るチャンスを逃さない、そんなレース運びが望まれる。