2024年シーズン、メルセデスで苦戦を強いられたルイス・ハミルトンだが、トト・ウォルフは、ハミルトンーがチームに対して気持ちが切れていたとは思わないと語った。ハミルトンは40歳を迎えており、2024年はラッセルに見劣りした予選などには年齢が影響しているのか、あるいはフェラーリという新たな挑戦でモチベーションを取り戻せるのか、注目が集まっている。

F1ジャーナリストのベン・ハントは、ハミルトンがフェラーリへの移籍が決まったことで、2024年シーズンはモチベーションが低下していたと自身のポッドキャストで発言している。

「彼はシーズン開幕時点で、すでに退職願を出したようなものでした。モチベーションが低下していたのです。そのような状況では、常に全力で取り組むことはできません。彼はフェラーリのことを考えており、そのことが彼の通常の思考プロセスを妨げていたと考えられます。」

これに対して、ドイツの『Auto Motor und Sport』誌のインタビューで、メルセデスチーム代表のトト・ウォルフは、ハミルトンのモチベーションが低下していたという考えを否定した。

「この世代のマシンはルイスに合っていない。彼はブレーキングが遅く、コーナーに積極的に飛び込むドライビングスタイルだが、マシンとタイヤがそれを許容しないことがある。これは予選でより顕著に現れるが、レースではそれほど目立たないかもしれない。他の要因も影響している可能性もある。彼はプロフェッショナルなドライバーだ。モチベーションが低下していたなんてことはありえない。」

フェラーリで8度目のドライバーズチャンピオンシップを目指すハミルトンだが、40歳を超えてタイトルを獲得したドライバーはわずか3人しかいないという歴史が彼に立ちはだかる。最も最近の例は1966年のサー・ジャック・ブラバムである。

引退した元ドライバーの間では、予選でのシングルラップペースの低下が、ドライバーの年齢による衰えの最初の兆候であるという見方が一般的である。ウォルフ自身も、マット・ワイマンの著書『Mercedes F1: Life in the Fast Lane』の中で、スポーツ選手の「賞味期限、貯蔵寿命(shelf life)」に関するコメントが物議を醸したことがある。

ウォルフはその後、BBCラジオ4で、この発言は文脈を誤解された結果だと釈明した。

「私が言いたかったのは、私たち全員、年齢を重ねるということだ。車に乗っているときでも、ピッチの上でも、マネージャーとして、起業家としてでも、自分が依然として優れたパフォーマンスを発揮できているかを常に自問自答する必要がある。しかし、自分自身の自己評価に反して、ルイスが素晴らしいパフォーマンスを発揮できることは、彼自身が証明している。マシンがそれに対応できていないことが、彼のパフォーマンスを妨げているのだ。これはチームにとっても、彼自身にとっても大きなフラストレーションだ。しかし、彼は非常に鋭い。20歳の頃とは違うのは確かだ。彼の経験とレースクラフトは素晴らしい。」

「シェルフライフ」という発言について問われたウォルフは、45歳になるフェルナンド・アロンソの例を挙げ、現代のF1ドライバーはより長いキャリアを築くことができることを示した。

「それは私たち全員に影響を与える。しかし、ルイスのようなトップアスリートは、その時期を長く先延ばしにできる。フェルナンドを見ればわかるだろう。彼は豊富な経験を持ちながらも、依然として速いマシンをドライブしている。ルイスも同じだ。」