
フェラーリの将来像に対し、F1界のレジェンドであるマリオ・アンドレッティが疑義を呈した。トレントでのスポーツフェスティバルに登壇した同氏は、近年の迷走に言及しつつ、フレデリック・ヴァスール代表への信頼について問われると短く「イエス」と答え、体制そのものへの不安をにじませた。
一方でアンドレッティは、シャルル・ルクレールの資質を高く評価し、「もし彼がいつか移籍を望むなら、僕はすぐにでもキャデラックへ迎えたい」と語った。GM支援の新チーム“キャデラック”の顔として2026年参戦準備を進める立場からの発言であり、フェラーリの屋台骨を担うエースですら流出リスクがあることを示唆したかたちだ。もっとも同氏は「フェラーリはフェラーリだ。遅かれ早かれ立て直す」とも述べ、名門復活への余地を残した。
フェラーリの低迷は外部からも不可解とされる。スカイ・ドイツの解説者ラルフ・シューマッハは「優れたドライバーが2人おり、シャシーもエンジンも一つ屋根の下で作られている。それでも成果が出ないのは理解しがたい」と指摘。資金やリソースを投じながらも、マクラーレン、レッドブル、メルセデスに及ばない現状が続くことに疑問を呈した。
ヴァスール代表は契約延長後が発表されたが、結果で問われる立場にある。内部結束を高める手腕を評価する声がある一方で、開発の方向性や運用面の綻びは露呈し続ける。アンドレッティの辛口発言は、2026年へ向けた勢力地図の動揺と、ドライバー市場の熱をさらに高めるシグナルとなった。