フェルナンド・アロンソにとって、F1メキシコGPは決して穏やかな一日ではなかった。レース序盤から、彼は無線を通じてFIAに対し強く抗議していた。スタート直後、複数のマシンが1周目でコーナーをカットしながらもポジションを維持したためだ。アロンソは「本来なら僕は11番手のはずだ」と訴えたが、実際には14番手に後退していた。

その抗議の一部は中継で放送されたが、FIAを痛烈に批判する無線の多くは流れなかった。

「スタートは良かった。サインツや他の何人かの前に出たんだけど、彼らはターン2を外れて、今は僕の前に3台もいるんだ」

と、アロンソは2周目に無線で不満を漏らした。

「本当に不公平だよ。ちゃんとコーナーを回ったのに、この順位にいるなんて。何か手を打とう。3台か4台はカットしてる。…でも彼らは、その行為がどういう結果を招くか分かっていないんだ」

FIAはこの件を「調査中」としていたが、結局何のアクションも取られなかった。アロンソはさらに苛立ちを募らせた。

「もしポジションを戻さないなら、彼らはレースというものを全く理解していない。そんなことはあり得ない。君たちができる限りのことをしているのは分かってるけど…放送では僕たちの無線が流れているはずだ。だからこれも放送されて、ターン1と2の様子を見てほしいよ。聞こえてるか?」

通信の乱れを確認しながらも、アロンソの怒りは収まらなかった。

「もうレースは終わりだ、僕たちはP11のはずだった。自分たちのレースをしよう。彼らには何も分かっていない」

アロンソはリタイア直前にブレーキトラブルを報告していたとされるが、オンボードではその無線も確認できなかった。ピットイン時、チームのメカニックたちは冷却装置もジャッキも用意しておらず、完全に不意を突かれた形だった。

なお、1周目のコーナーカットについては、ルイス・ハミルトンやジョージ・ラッセルらも同様に不満を表しており、多くのドライバーがFIAの対応に失望していた。

レース後、アロンソは状況を振り返り、オースティンGPと同様の「不公平さ」を感じていたと語った。

「ターン1でエステバンと接触してフロントウイングを少し壊したけど、問題はなかった。パフォーマンスに影響はなかったと思う。軽いダメージ程度だね」

「ただ、ブレーキが少し冷えてしまっていた。トラフィックの中で温度管理が難しくて、最終的にはペダルが深くなった。40周も残っていたし、続けるのは不可能だった。スタートで2つポジションを上げたのに、ちゃんとコースを走った僕が逆に4つ順位を失った。ターン2と3をショートカットした連中が、出口では僕の3〜4台前にいたんだ」