アストンマーティン・アラムコF1が、次世代メカニックの裾野を広げる新育成プログラムを始動した。潤滑油パートナーのバルボリンと連携し、奨学金や実地トレーニングを束ねた「Aspiring Mechanics Programme」をグローバルに展開する。初動はメキシコシティGP週末で、地元教育機関と連携したワークショップからスタートした。障壁を下げ、志望者が第一歩を踏み出せる導線を整えるのが狙いだ。
同プログラムは5年間で100万ドルを拠出し、世界で約1万人の志望者支援を目標に据える。自動車業界は2030年までに約430万人の熟練技術者が不足すると予測され、F1と市中の整備現場をまたぐ人材パイプラインの整備が急務だ。チームは講義や現場体験を通じて基礎技能と安全文化を育む方針で、オンライン教材や現地セッションなど多様な学びの機会を用意する。女性や多様なバックグラウンドの参加も想定し、地域コミュニティと結びつける。
予算上限の時代において、早期にタレントを見出し育てることは競争力の要になる。シルバーストーンのAMRテクノロジーキャンパスで培ってきた見習い制度の知見を活かしつつ、欧州のサーキットや技術教育機関とも連携を広げ、各開催地での常設・出張型ワークショップへと拡大していく見通しだ。F1の経験値を社会へ、社会の多様な人材をF1へと循環させ、業界全体の底上げと持続的発展を両立させる意欲的な一歩といわれる。

