これまで各チームが各々実施していたニューマシンの発表を、合同イベントとした「F1 75」は、各メディアの反応をみると、概ね好評だったようだ。

チームごとに趣向を凝らしたマシンの登場シーンは見ごたえがあり、F1の商業サイドを盛り上げようとするリバティ・メディアの意気込みは十分に伝わってきた。テイク・ザットといったミュージシャンの登場もイベントを大いに盛り上げた。

ショーが進行して、各チームが新しいマシンとドライバーペアを披露し、今シーズンへの期待を込めたポジティブな雰囲気が漂うなか、レッドブル代表のクリスチャン・ホーナーが紹介されると、会場は唐突に不穏な空気に包まれた。

ローリングストーンズの曲とともにホーナーが登場すると、大きなブーイングが起こった。ホーナーが短いスピーチを発する間も続き。ブーイングは、レッドブルのマシンと共にフェルスタッペン、ローソンが登場するまで止むことはなかった。

ブーイングの原因は、昨年の女性問題か、ペレスやリカルドの解雇か、角田を起用しなかったことだろうか。それら全てかもしれない。ホーナーは笑顔を絶やさず役割を果たしたが、長年トップチームを支えた代表が大きなブーイングで迎えられるシーンは異様であった。

これをレッドブルの経営陣や関係者がどのように捉えただろうか。巨額の投資を続けたチームの顔が、会場に同席している往年のチャンピオンや関係者の前で大ブーイングを受け、2万人のF1ファンに嫌われているように見えたことは、レッドブルが望んだ投資効果とはかけ離れた、屈辱的なものだったのではないだろうか。