F1がアフリカ大陸でのグランプリ開催を模索する中、ルワンダが正式にF1開催地としての名乗りを上げた。しかし、この動きに対し、隣国コンゴ民主共和国(DRC)(旧ザイール)が強く反発している。DRCは、ルワンダでの開催は「血塗られた(blood-stained)イベント」になると警告し、F1に対してルワンダを開催候補地から除外するよう求めた。

昨年12月6日、DRCは、ルワンダの支援を受けているとされる反政府武装勢力「M23」が、東部の村を襲撃し民間人300人以上を殺害したと発表。1月27日には、M23側がコンゴ東部の主要都市・ゴマを掌握したと宣言した。またこの戦闘で国連平和維持部隊の4名が死亡している。

その後1月31日、国連がニューヨーク本部の記者会見で、「ゴマで散発的な戦闘が続く一方、M23とルワンダ軍がDRCのブカブ市に向けて南進している。情勢は極めて不安定で、水や食料の不足から人道危機が悪化する可能性がある」と指摘した。

これにより、コンゴ民主共和国では70万人以上が避難を余儀なくされている状況となり、ドイツやイギリスは、対ルワンダ経済支援の再検討を表明している。昨年、ルワンダの首都キガリで行われたFIAの表彰式で、ルワンダのポール・カガメ大統領は正式にF1開催を申請したが、DRC側はこれに激しく反発した。

DRCの外務大臣テレーズ・カイキワンバ・ワグナー氏は、F1のステファノ・ドメニカリCEO宛てに書簡を送り、その中で以下のように訴えた。

「ルワンダは現在、M23を通じてコンゴ東部の広範囲を占拠し、70万人以上のコンゴ人を避難させている。F1がアフリカでのグランプリ開催を望むのは理解できるが、果たしてルワンダがその代表としてふさわしいのか疑問だ。F1はルワンダを開催地候補から除外するべきである。F1は本当に、自らのブランドをルワンダとの『血塗られた』関係で汚してもよいのか? F1にとって、ルワンダは本当にアフリカを代表するに値する国なのか?」

このような強い反発を受け、F1も対応を迫られることとなった。F1の広報担当者は次のように声明を発表している。

「我々は、DRCとルワンダの状況を注意深く監視しており、今後も引き続き注視していく。
世界中の多くの都市や国々からF1開催の要請が寄せられており、すべての候補地を詳細に検討している。いかなる決定も、F1の価値観に基づき、スポーツの利益に最も適した形で行われることになる。」