F1メキシコGPでオスカー・ピアストリは、序盤から前方のメルセデス勢を追う厳しい展開となった。さらにハースのオリバー・ベアマンにも抜かれる形となり、一時は苦しいポジションを強いられた。
ベアマンは序盤から果敢な走りを見せ、一時3番手まで浮上。その後4位でフィニッシュしたが、終盤にはピアストリが猛追を仕掛け、わずか数周でテール・トゥ・ノーズの攻防を展開した。しかしバーチャルセーフティカー(VSC)が導入されたことでチャンスは潰え、ピアストリも「おそらくあの2周では抜けなかった」と認めた。
ピアストリはアンソレッリとラッセルを抜いてベアマンの背後につけた。ルーキーのアントネッリは比較的容易に攻略できたが、ラッセルとの戦いは激しかった。
「ベアマンを抜くのは本当に難しかったと思う。DRS圏内に入ること自体が大変で、そこからオーバーテイクするのはさらに厳しかった。最終的に大きな違いはなかったと思うんだ」
「ラッセルとのバトルでは、最後は行くしかなかった。何度かターン1~3で仕掛けるタイミングを伺って、ターン4で抜こうとしたけど、まるで路面にクイックサンド(流砂)が撒かれたみたいにグリップがなくて、本当に難しかった。もう行くしかないと思って仕掛けた。結果的には、そこまで難しくはなかったけどね」
「これからのレースについては予想が難しいけど、クルマのペース自体は強力だ。まだその力を最大限に引き出せていない部分もあるから、学ぶべきことがあれば学ぶし、変更したことが前進につながっているなら満足だ。でもそうでなければ、また仕切り直しだね」
この結果、ピアストリはチームメイトのランド・ノリスに1ポイント差でランキング首位を譲ることになった。マックス・フェルスタッペンとの差も縮まり、残り4戦でのタイトル争いはさらに激しさを増している。
戦略面では、マクラーレンのアンドレア・ステラ代表によれば「できることはすべてやった」という。ノリスやルクレールが成功させた1ストップ戦略は、ピアストリには現実的ではなかったという見解だ。
「まずオスカーの戦略は、彼をフリーエア(前に誰もいない状態)に出して、クルマの持つパフォーマンスを最大限に発揮させることを狙っていた。もし彼がステイアウトしていたら、前にいたラッセルも同じくピットに入らず、結局皆が2ストップになる流れだったと思う」
「つまり、前のクルマが後ろをカバーする形で全体が似た戦略になったんだ。ノリスとルクレールは十分なギャップを持っていたから、後ろの動きを気にせず1ストップでいけた。一方で、オスカーの場合は、フリーエアで力を発揮させることが狙いだったんだ」
「スタート時の位置取りもかなり積極的ではあったけれど、誰も彼をブロックする必要がない状況でもあった。だから、1ストップか2ストップかというよりも、彼にとって走りやすい状況を作り出すことが重要だったと思う」
