
バクーでの堂々たる表彰台から一転、ウィリアムズのジェームズ・ボウルズ代表は、次戦シンガポールについて「現実的に厳しい」と冷静に語った。一方で、ラスベガス、ブラジル、メキシコ、アブダビといった終盤戦には「我々向きのサーキットがいくつもある」と前向きな展望も示した。
「バクーでは速さがあったし、以前から得意でもある。しかしシンガポールは厳しいだろう……それが現実だ」
ウィリアムズはアゼルバイジャンGPでカルロス・サインツがフロントロウからスタートし、表彰台を獲得。シーズンを通して課題だった予選一発の弱さに対し、チームはタイヤの作動域を最適化する「約10項目」のメニューを導入し、コンディションを的確に合わせ込んだという。
「タイヤを適正ウィンドウに入れるための“10項目メニュー”が機能した。特別なマジックではなく、きちんと状態を作れた結果だ」
それでもマリーナベイは最大ダウンフォースが必要な低速市街地。現行FW47はそのレベルの空力投資を十分に行っておらず、「昨年仕様のウイング」を使用している事情もあり、代表は現実路線を強調する。
「最大ダウンフォース域は、このクルマが最適化されていない領域だ。昨年のウイングを使っていることもあり、シンガポールでは苦戦するだろう」
もっとも、チームはスパ周辺から投入してきた小規模アップデートの手応えを感じており、終盤に向けては好材料が揃う。ヴォウルズ代表は「アブダビ、ラスベガス、ブラジル、メキシコは我々に合う」と名指しし、コンストラクターズ5位争いが出来る状態を築きつつある現状にも触れた。
「終盤には我々向きの良いトラックがいくつかある。信頼性問題で取りこぼさない限り、ポイント獲得のチャンスは多いはずだ」
バクーでの勢いを一度“現実チェック”で受け止めつつ、その先で確実に取りにいく——。ウィリアムズは長期的開発を優先する方針を崩さず、足場を固めながら復活の階段を上り続けている。