F1の放送責任者ディーン・ロックが、どのチームラジオを世界中継で流すかの基準を明かした。FOMは走行中の全車の無線にアクセスでき、暗号化の時代は終わった。放送は、ドライバー個別のオンボードチャンネルと、世界向けのテレビ中継の二系統。前者はほぼ全てを拾い、後者は要点を抽出してクリップやテキストで出す方針だ。

オンボードは数秒のディレイが設けられ、問題発言が予見される場合はドライバー保護のためミュートやビープで対応する。一方の世界中継は約15秒の遅延を活用し、効果音の音量調整や編集判断を行う。選定は、レース展開やドライバーの立場の「文脈に合っているか」を最優先とし、必要に応じてリプレイの説明にも用いる。

卑語は必ずしも排除されないが、事故直後などは安全配慮で隠すことがある。メキシコGPではアロンソの無線の一部がオンボードでミュートとなり、翌日にFOM映像で公開された例が示された。放送演出が“過剰”との批判に対し、ロックは「扇情化が目的ではなく、物語を伝える手段だ」と強調した。