レッドブルは、鈴鹿での成功を再現することができず、バーレーンで困難に直面した。フェルスタッペンはブレーキに問題を抱え、タイムアタックを諦めるシーンがみられた。ブレーキの不具合に加え、ピットストップでのトラブルにより殆ど最後尾まで順位を落としながらも、6位でレースを終えて貴重なポイントを手にした。

角田裕毅は、レッドブル2戦目で初ポイントを獲得した。扱いにくいマシンで、レースの殆どをダーティエアの中で走り、ハジャー、ドゥーハン、サインツ、オコン、ベアマンらと戦い、努力が評価される内容だった。フェルスタッペンと同じようにピットストップでポジションを下げつつも、最後にポイント圏内に留まれたのは、最後にソフトタイヤを選択した判断があったからだろう。唯一、レッドブルらしい強みを出せたポイントだった。

当初、チームはピットの(ドライバーに合図を送る)シグナルボタンが押されなかったのではないかと考えていた。ホーナーはピットガントリーのワイヤリングハーネスに問題があった可能性についてコメントしている。またホーナーは、風洞のデータと実際の走行結果の間に相関性が見い出せていないとも述べた。風洞ではポジティブなデータが得られても、それがコース上で反映されていないという。


ピットストップのトラブルについて

フェルスタッペン:「もちろん、長い間待たされるのは良くない。今回は2つの別々の問題があり、我々の基準には達していなかった。通常、我々のピットストップは良い。何が起きたのか分からない。」

角田:「そう、マックスも同じ問題を抱えていた。レッドブルでは珍しいことだ。通常はピットストップが得意なチームなので、何が起きたのか分からない。」

ホーナー:「これは、ピットストップ競争における僅かな差と許容範囲の狭さを示している。我々は今週末、ブレーキの問題とバランスの問題という2つの課題に苦しめられていた。そして、それがタイヤのデグラデーションなどを悪化させた。さらに、ピットガントリーの配線ハーネスに問題が発生し、信号機のトラブルに繋がった。これほどひどい日だったにもかかわらず、フェルスタッペンがランドとの差を8ポイントに留めたことは重要だ。5日後のジェッダに向けて、今できることに集中しなければならない。」

「これは私自身も初めて見るような事例だ。ドライバーたちは信号機に従っている。実際のピットストップは2秒で行われた。問題はその後、信号が点灯しなかったことである。すべての機器は隔離され、詳しい調査が行われる予定だ。最初のストップでマックスが入ったとき、信号が点かなかった。我々はボタンが強く押されなかったのではないかと疑った。次のピットストップは1分以内に行われたが、再び同じ問題が発生したため、チーフメカニックによる手動操作に切り替えた。」


ブレーキの問題について

フェルスタッペン:「ブレーキは少し良くなった。部品交換が許されたからだ。しかし問題は、ブレーキの感触だけではなく、タイヤがオーバーヒートしてしまうことだ。ブレーキ時にそういった感触が全くなく、フロントもリアも簡単にロックしてしまう。」

ホーナー:「彼はペダルからの感触が得られていない。それは非常に重要な要素であり、ドライバーに多くのフィードバックを与える。さらに、コーナー進入時の精度が失われ、結果として他の問題も引き起こす。早急に解決しなければならない課題である。マックスには2023年や2024年初期の車の感覚がないが、良いフィードバックを出しており、ユウキの感じている限界と同じ部分に問題を感じている。ブレーキの問題はユウキの方が軽いが、マックスはこの部分で改善すべき大きな課題があると分かっている。一方、ユウキはまだそれを経験していない。」


レース結果について

フェルスタッペン:「ペースは非常に悪かった。しかし、すべてがうまくいかないレースになるとは思っていなかった。実際、起こり得るすべての問題が起こったようなレースだった。それで、より悪く見えたのだと思う。ただ、最終的に自分がフィニッシュした順位は、我々が成し得た最大限の結果だったと思う。バランスが取れておらず、タイヤマネジメントも難しく、このコースでは特に厳しい。昨年はそれほど悪くなかったが、今年はどういうわけかタイヤの持ちがさらに悪くなっている。少し奇妙だ。」

角田:「それでも、この結果には満足している。初のポイントを獲得できたからだ。今の進歩と我々が取っている方向性には満足している。レースは非常に波乱に満ちていた。ピットストップや他の問題もあった。そこから学び、次に活かすべきである。状況によって自分の戦略にも影響が出たかもしれない。必要以上に多くのマシンを追い抜かなければならなかった。それでも良いペースで走ることができ、幾つかのマシンをオーバーテイクできた。それは良かった。」

ホーナー:「チームにとっては悪い週末であった。レースのスタートから何一つ上手くいかなかった。スタートも良くなかったし、ピットストップも機能しなかった。タイヤの劣化、温度の上昇も問題だった。バランスの取れたマシンであれば、すべてが簡単になる。シーズンは24戦ある。ドライバーズチャンピオンシップでは8ポイント差であり、早急な改善が必要である。困難なマシンの中で、彼(フェルスタッペン)は全力で戦い、可能な限りのポイントを獲得した。それが最終的に年間を通じて結果を左右する。」

「セットアップによって多少のごまかしは可能であり、先週の鈴鹿ではそれができた。しかし今回のレースでは、我々が抱える明確な欠点が露呈した。我々は問題点を理解しており、解決に向けた取り組みを進めている。今後数戦で導入予定のアップデートは、こうした問題を解決するためのものである。角田は今週末、非常に堅実な走りを見せた。予選ではトップ10に入り、決勝でもポイントを獲得した。約12〜14秒差でチームメイトに続いたことを考えれば、非常に良いレースだった。」


ホーナー:「問題そのものは理解出来ている。問題は、我々のシミュレーションツールで得られる解決策が、実際のコース上での挙動と一致していないことだ。これを解明する必要がある。なぜ、ツールが現実を反映していないのか。現状では、まるで2つの時計が異なる時間を示しているような状況だ。」

「風洞は我々をある方向へ導いていたが、それが実際の走行結果と一致していない。結果として、ツールとトラックデータに食い違いが生じた。今はトラックからのデータが解決策を導くカギである。我々は規則の終盤に差し掛かっており、わずかな違いが大きな影響を与える。現在の風洞設備にも限界があり、そこが問題となっている。」