
F1日本グランプリでの角田裕毅のレッドブル初戦は、ポイント獲得には届かなかったものの、内容としてはかろうじて評価に値する走りを見せたといったところだろうか。チームやメディア、ファンはリアム・ローソンと交代させた判断の答え合わせを求めてくるため、角田裕毅のポジションは今後も注視され続けるだろう。
日本GP予選ではQ2のミスで脱落してしまった。重要な局面でのミスではあったが、これは多くのドライバーが経験することで、フリー走行からのパフォーマンスを含めれば及第点だろうか。決勝は大きな波乱もなく、ほとんどのドライバーがスタートポジションに留まる状況で、ローソンとガスリーを着実に仕留めたシーンは悪くはなかったが、やはりチームメイトが優勝したことを考慮すれば入賞が欲しかった。
角田のマシンは雨向けのセットアップが施されたことが明らかになっており、これが裏目に出た格好となった。マックス・フェルスタッペンのドライ向けセットアップに合わせて、それを確認するには、走行時間が不足したため難しかったという。
「セットアップ自体は雨寄りにしていたけど、結局雨は降らなかった。それはちょっと残念だった。オーバーテイクが難しいのは分かっていたし、タイヤの劣化が大きければチャンスになると予想していた。でも、デグラデーションはなかった。
全体的に、自分にとって厳しい条件だったと思う。でもその一方で、クルマについて多くのことを学べた。52周のレースは、僕にとっては本当に貴重な経験だった。次のレースが楽しみだ。」
予選後のコメントでは、さらに詳細な舞台裏を明かしている。
「FP3の後はマックスと同じくらい車高を下げようかと思っていた。でも、火災や赤旗などがあって十分な時間がなかった。それに、セットアップの変更も多くて、一貫したクルマ、一貫した走行ができなかった。だから最終的にはそのままのマシンでいこうと思った。
予選はレインコンディションの可能性もあったから、安定性を優先した。でも、もし同じグランプリをもう一度走れるなら、違う方向で行くと思う。」
結果とは別に、角田は3日間を通じて着実に前進できたことに満足している。
「今週の進歩に関して言えば、正直なところ、予想以上だった。僕は自分のやるべきことをやり続けるだけだ。52周走ったことが、本当に大きな経験だった。
自信のレベルでいえば、FP1の時点と今ではまったく違う。もしもう一度予選ができれば、違う結果になっていたと思う。でも、もうそのチャンスはない。次のレースでより良くするだけだ。
レッドブルとレーシングブルズのマシンは、かなり違う。特にタイヤの使い方は全然違う。それが今週末、自分が苦戦した一因でもある。でも今はその理由が分かったから、あとはもっと良くするだけだ。
環境について言えば、メカニックたちはとても似ている。イギリス人ということで、もっとドライなのかと思ったけど、実際はとてもフレンドリーだ。イタリア人と同じくらい親しみやすい。レース後も、全員が『よくやった』と言ってくれた。それが本当にうれしかった。モチベーションをくれるチームで、本当にありがたい。エンジニアリンググループも、全力でサポートしてくれている。今の環境には本当に満足している。」
「総じて、今週末はネガティブなスタートではなかった。結果は別として、ポジティブなスタートだったと思う。だから、この学びや進歩、週末を通じて見えたスピードを活かしていきたい。
バーレーンからここまで来て、もっと上を目指していたから、次はもっとプッシュするだけだ。」
チーム代表のクリスチャン・ホーナーも、角田のパフォーマンスについて前向きな評価を下している。チーム内での適応が順調であり、今後のレースでのパフォーマンス向上に期待を寄せている。
「彼はチームに順調にフィットしていると思う。非常に良いフィードバックもしてくれている。FP1は非常に良かったし、FP3も問題なかった。Q1ではマックスとコンマ1秒差だったが、Q2でミスをした。ターン1で15キロ速く進入していて、そこでミスをして、その後はラップを追いかける形になってしまった。結果的に14番スタートとなり、それがレースの結果を決定づけた。彼はガスリーをアンダーカットし、オーバーテイクも一つ決めたが、残りの時間はアロンソのリアウイングを眺めていただけだった。
今回のレースは、オーバーテイクがまったく見られなかったくらい静かな展開だったと思う。予選で上位に入っていれば、もっと良い結果を得られたはずだ。フィードバックも良かったし、これから数戦で彼のパフォーマンスは向上していくだろう。」