日本グランプリが鈴鹿サーキットで開催され、レッドブルのマックス・フェルスタッペンが圧巻の走りで今季初勝利を挙げた。ランド・ノリスとオスカー・ピアストリがこれに続き、マクラーレンはダブル表彰台を得た。

レース序盤、鈴鹿の空は曇り空に包まれていたが、路面はドライでスリックタイヤが選択された。大半のドライバーがミディアムタイヤでスタートを切る中、ポールポジションからスタートしたフェルスタッペンは、後方から迫るマクラーレン勢を巧みにカバーし、トップを維持した。

フェラーリのシャルル・ルクレールはメルセデスのジョージ・ラッセルとアンドレア・キミ・アントネッリを抑えて4位を堅持。Visa Cash App RBのアイザック・ハジャーが7位につけ、その背後にはハードタイヤを履いたルイス・ハミルトン(フェラーリ)が続いた。ウィリアムズのアレクサンダー・アルボンが9位、ハースのオリバー・ベアマンが10位と、ポイント圏内を形成した。

ポイント圏外では、アストンマーティンのフェルナンド・アロンソがアルピーヌのピエール・ガスリーから11位を死守。一方、Visa Cash App RBのリアム・ローソンは13位の座をレッドブルの角田裕毅に奪われた。ザウバーのニコ・ヒュルケンベルグがウィリアムズのカルロス・サインツをヘアピンで一時抜いたものの、サインツが再びポジションを奪い返した。

レース中、大きな変動やアクシデントは無く、トップ10内における唯一の変動は、ハミルトンがハジャーをオーバーテイクして7位に浮上した点である。この結果、ハジャーはアルボンとベアマンの猛追を受けることになった。アストンマーティンのランス・ストロールはソフトタイヤの賭けに出たが、機能せず10周目に早々とハードタイヤに切り替えることとなった。

序盤は概ねクリーンな展開で進んだが、アントネッリとサインツが最終シケインでロックアップを起こし、コースをカットする場面もあった。19周目にはピットウィンドウが開き、ラッセルが20周目にピットインしてルクレールの前に出ようと試みたが、ルクレールはギャップを見つけるべくスティントを延長した。

ピアストリは22周目に先行してピットに入り、続いてノリスも入り、ラッセルへの対応を図った。トップ3は23周目に一斉にピットイン。この際、フェルスタッペンとノリスがピット出口で並走し、ノリスは芝生に押し出される形となった。

「フェルスタッペンがノリスを押し出したのではないか」とマクラーレンは抗議したがペナルティは科されなかった。

このため、フェルスタッペン、ノリス、そしてピアストリのトップ3はポジションを維持。ルクレールもラッセルを抑えて4位の座を守った。ハミルトンとアントネッリはそれぞれ31周目、32周目にピットインしたが、順位は維持され、アントネッリが前を保った。

角田裕毅は、オープニングラップのスプーンでローソンをかわし、その後はタイヤ交換タイミングのアンダーカットでガスリーの前に出ることに成功したが、レース中盤からチェッカーまでアロンソに前を阻まれ、アロンソの巧みなペースコントロールによって1秒程度のスペースを維持され、オーバーテイクを仕掛けられる距離まで近づくことが出来なかった。

その後も中団では異なる戦略を採ったドライバーによる順位変動が見られた。サインツとローソンは最終スティントでミディアムではなくソフトタイヤを選択するというアグレッシブな策を講じた。

レース終盤、トップ3の差は縮まり、ノリスがフェルスタッペンに迫るも、ピアストリの方がさらにノリスに近づいていた。ピアストリは無線でチームにプレッシャーをかけたが、マクラーレンはチームオーダーを出さず、順位は変わらなかった。

「フェルスタッペンは本当に強かった。彼に勝つには全てが完璧でなければならなかった」とノリスは語った。

結局、フェルスタッペンがこの白熱のバトルを制し、2025年シーズン初勝利を母国ホンダの地・日本で飾った。

ノリスは2位でフィニッシュし、ドライバーズランキングでわずか1ポイントのリードを保った。ピアストリは3位表彰台を獲得し、フェラーリのルクレールとメルセデスのラッセルがそれぞれ4位、5位で続いた。アントネッリはチームメイトのラッセルに迫る走りで6位を獲得し、ハミルトンに大差をつけた。

ハジャーは8位でフィニッシュし、アルボンとベアマンがそれに続いてトップ10入りを果たした。アロンソは11位でフィニッシュし、角田12位とガスリー13位とそれに続いた。サインツはドゥーハンとヒュルケンベルグを抜いて14位まで挽回。ドゥーハンはヒュルケンベルグを抑えて15位を守った。ローソンは17位と低迷した。

ハースのエステバン・オコンは18位、ザウバーのガブリエル・ボルトレートが19位、ストロールが最下位の20位で、カナダ人ドライバーは唯一、フェルスタッペンに周回遅れとされた。