角田裕毅は、アブダビで行われたシーズン後テストで初めてレッドブル・レーシングのF1マシンを試乗した。この経験は、彼がマックス・フェルスタッペンの2025年のチームメイトに名乗りを上げるための公開アピールにもなった。

火曜日にヤス・マリーナ・サーキットでRB20をドライブした角田にとって、レッドブルのシニアチームのF1カーを本格的にテストするのはこれが初めてである(デモランを除く)。彼は2021年のF1デビュー以来、レッドブルへの昇格の機会を逃し続けてきたが、それでもニック・デ・フリースやダニエル・リカルドを凌ぎ、過去2シーズンにわたりリカルドの後任であるリアム・ローソンとチームメイトとして比較的好成績を収めてきた。特に2024年には、6回の週末で全てローソンを予選で上回っている。

ローソンはアブダビGP前までに2025年のセルジオ・ペレスの後任として有力視されていたが、角田のアブダビでのテストは本来、ホンダへの感謝の意を込めた計画であり、2025年の昇格試験というよりも礼儀的な意味合いが強かった。

しかし、F1最速のマシンで127周を走行した角田は、自身の適応力とRB20への感想を明確に述べ、昇格に向けた強い意志を表明した。

「アブダビでのシーズン後テストはとても楽しかった。過去4年間で異なる車を運転するのはこれが初めてだった。」
「RB20が今年のチャンピオン争いを繰り広げている理由を物理的に感じることができた。以前の車と比べて明確な違いを感じた。」

タイヤの耐久性についても角田は次のように語った。

「以前の車と比べてタイヤのデグラデーション(劣化)がかなり少なく感じた。以前の車はもっと敏感で過剰に反応することが多かった。」
「とても生産的な1日を過ごせて本当に嬉しい。学ぶべきことはまだたくさんあるが、チームが素晴らしい準備をしてくれたおかげで、本当に楽しい雰囲気の中での走行ができた。」

RB20が自身のドライビングスタイルに合うか尋ねられた際、角田は次のように答えた。

「正直に言うと、あまり適応に苦労しなかったと思う。ダーティーラップ(ミスが多い周回)がほとんどなかった。ロングランでは安定した走行ができ、すぐに車の限界を感じ取ることができた。車への信頼感がないと限界を感じ取ることはできないので、その点で非常に満足している。」
「今はこれまで以上に幸せな気分だ。チームが各走行から必要な情報を得ることが、今日の最大の目標だった。」

リカルド以降、フェルスタッペンのチームメイトはピエール・ガスリー、アレックス・アルボン、セルジオ・ペレスと交代してきたが、いずれも車の特性に適応しきれずに苦しんだ。ペレスはその中で最も近づいたものの、シーズン中の開発で車の特性が変わると対応が追いつかないことが多かった。

そのため、角田が「RB20は自分のスタイルに合っている」「適応にあまり苦労しなかった」と述べたことは、「自分ならマックスと並んでも苦労しない」という強いメッセージである。

また、彼の「ガレージ内の楽しい雰囲気」という発言も、「この環境を愛している、自分は準備ができている」という意思表示に他ならない。

角田の速さよりも精神的な強さが、レッドブルにとって最大の懸念材料であったとされるが、この発言はその疑問への明確な回答と言えるだろう。

最終的なラップタイムは1分24秒689で、全23人中17番手だったが、燃料の搭載量やピレリのタイヤテストを考慮すると、外部からは正確な比較は困難である。しかし、レッドブルが2レース分以上の走行データを得たことは確かであり、角田の真のパフォーマンスを評価する材料は十分に揃ったはずだ。

レッドブルのパフォーマンスエンジニアリング部門トップのベン・ウォーターハウスは、角田の「優れたフィードバック」を称賛し、来年導入されるピレリのタイヤ変更に関する「貴重な洞察」を提供したと述べた。

数日前、RBのチームボス、ローラン・メキーズは「角田が昇格の準備ができていないと言うのは嘘だ」と語り、レーシングディレクターのアラン・パーマンも「角田は非常に速い」と称賛していた。

最終的には、角田のレッドブルでのデビューがチームの評価をどれだけ変えたかにすべてがかかっている。F1で最も過小評価されてきたと言われるドライバーが、ついにその実力を発揮する機会を得られるか、注目が集まる。