メキシコGPのスタート時の裁定を巡り、元F1ドライバーで解説者のマーティン・ブランドルがスチュワードの“無罰”判断に異議を唱えた。ブランドルは、ターン1〜3でコース外を直進して順位を保ったマックス・フェルスタッペンの動きについて「抑止力を効かせるためにドライブスルー相当の重い罰が妥当だった」と主張。コーナーカットの連鎖を止めるには厳格な基準が必要だと訴えた。

ブランドルはさらに「(フェルスタッペンは)コースに留まる努力をまったく見せなかった」と指摘し、同様にコース外走行があったシャルル・ルクレールにも10秒加算などの処分が相当との見解を示した。スタート直後の混乱に抜け道が生まれている現状を問題視し、ピットリミッター速度で進まねばならない減速ゾーンの設置など、明確な抑止策の導入も提案している。

一方で、今回のスタートで得たアドバンテージを返したとの擁護論もあるが、ブランドルは「結果として得失がゼロでも、やった者勝ちを許せば再発する」との立場。接触を避けることを理由にコースアウトしても同じポジションに戻れること、コースを外れた走行に罰則性が無くなっている状況に異を唱えた。メキシコの第1コーナー形状を含めた構造的課題に触れつつ、スチュワード側の運用強化を重ねて求めた。スタート裁定を巡る議論は、タイトル争いと並ぶ今季終盤の焦点になりつつある。

近年、コース脇はアスファルトが基本となり、芝生は細い縁部の見切り、グラベル(砂地)は薄い帯状のゾーンで罰則性を補う、ハイブリッド設計が現在の主流となった。広いグラベルでは車両が跳ね上がったり破損、横転するリスクが高いため、高速域の四輪レースを行うサーキットではグラベルゾーンが減ったが、グラベルが主流だった時代は、コースアウトが即リタイヤに繋がる場面が多かった。