F1のテレビ中継が変化を見せている。メキシコGPでは、FOM(Formula One Management)がこれまで物議を醸してきた“セレブゲスト”や“ドライバーのパートナー”への過度なフォーカスを大幅に減らしたことが確認された。

きっかけとなったのはシンガポールGPだった。カルロス・サインツが「彼女ばかりを映すのはやりすぎだ」と苦言を呈したことで、F1の放送演出に対する批判が一気に高まった。その後、オースティン、そしてメキシコでの中継では、カメラが著名人やガレージのクローズアップを避け、レースアクションに集中するようになったのだ。

ドイツのAuto Motor und Sport誌は、メキシコGP中継ではドライバーの妻たちが一切映されなかったと報じ、「F1が批判に明確に対応した証拠だ」と伝えた。記者のトビアス・グルーナーはこう記している。

「レース中、WAG(選手の妻や恋人)やハリウッドスターを見たい人はがっかりしただろう。中継は完全にレースそのものに焦点を当てていた。テレビチームはフェルスタッペンの追い上げ劇を余すことなく捉え、これまで軽視されがちだったミッドフィールドの戦いも丁寧に映し出した。」

同誌は、シンガポールGP後に起きた“見逃しオーバーテイク”や“不要なセレブ映像”への批判を、制作チームが学んだ結果だと評した。