FIA会長選をめぐり、立候補を表明していたスイス人レーサーのローラ・ヴィラールが、選挙制度は「非民主的だ」としてパリの裁判所に提訴した。初回審理は11月10日とされ、12月12日に予定される次期会長選の無投票再選を差し止めるよう求めている。FIAは係争中につきコメントを控える姿勢だ。

提訴の背景には、候補者が「各大陸地域から副会長候補を揃えて」チームを構成しなければならないという規定がある。ヴィラールは締切の10月24日までに必要人数を確保できず、特に南米地域で無所属の適任者が不足していたことが障壁になったという。結果として現職のモハメド・ビン・スライエムが単独候補となり、手続き上は無投票再選の見込みが強まっている。

一方、出馬を模索していた元F1上級スチュワードのティム・メイヤーも、同様の要件を満たせず撤退。「民主主義の幻想だ」と制度を批判しており、今回の司法判断はFIAの統治と選挙の正当性に波及しかねない。欧州メディアや通信各社は、透明性と代表性をめぐる議論の行方を注視している。