F1における、”かつてのエンジンサウンドへの回帰”は、ここしばらく議論されてきたテーマだ。そして今回、FIA(国際自動車連盟)とその会長モハメド・ベン・スレイエムは、V6やV8エンジン復活の可能性について再び言及した。だが、もし復活が実現するとしても、その際には100%持続可能な燃料の使用が前提となる。

「我々にとってV8は現実的な選択肢だ。各チームと話す中で、私はとても前向きな気持ちになっているし、嬉しく感じている。FOM(フォーミュラ・ワン・マネジメント)も我々を支持してくれている。各チームも、それが正しい方向だと気づき始めている」

「早く実現しなければならない…導入には3年かかる。だから、2029年には何か形にできればと願っている。でも燃料は非常に高価だし、その点は慎重にならなくてはいけない」

とベン・スレイエム会長はロイター通信の取材に語った。コストに関する議論を続ける中で、会長は次のようにも述べた。

「現在のエンジンはとにかく複雑で、君たちには想像もつかないだろう。それにコストも莫大だ。研究開発費は2億ドルに達し、エンジン1基の価格はおおよそ180万〜210万ドルもする。もしV8に切り替えるとしたらどうなるか…多くのメーカーは市販車向けにV8エンジンを生産している。だから商業的に見ても理にかなっていると思う」

V8の話題に加えて、2026年からF1参入を予定しているキャデラックに関連し、F1の12チーム目として中国チームが登場する可能性についても質問が投げかけられた。

「私は今でも、“レース数よりもチーム数が多い方がいい”と考えている。仮に中国のチームが現れたとして、FOMがそれを承認するかどうかと聞かれたら、私は間違いなく“イエス”だと答える。中国の参入によって、より多くの収益を生み出せるはずだと思うよ」

「すでに11番目のチーム(GMのキャデラックF1チーム)が予定されている。そしてそのパフォーマンスをきちんと評価すべきだと思っている。もし中国から具体的なオファーが出てくれば、FOMを代表して言うけど、彼らはそれを受け入れると思う。ビジネスを維持するという観点からね」

「ただチーム数を埋めるために12番目のチームを追加すればいいという話じゃない。“ふさわしいチーム”でなければ意味がない。既存チームを困らせるようなことはしたくないし、ただ追加するために追加することは絶対にしない」

「12番目のチームは、F1のビジネスを維持するための価値を提供できる存在であるべきなんだ。そしてF1ビジネスというのは、単なる収益の話ではなく、チャンピオンシップの持続性そのものが重要なんだ」