マックス・フェルスタッペンとルイス・ハミルトンは、FIAが新たに導入した「ヒートハザード」指定レースでコクピット冷却ベストの着用を義務化する方針を批判した。

今週末のF1シンガポールGPは、初めて公式に“高温危険レース”として指定されたイベントとなり、FIAは特定の冷却対策を求める権限を持つことになった。2025年シーズン中はベストの着用は任意だが、このベストを着用しない場合はコクピット内に0.5kgのバラストを積む決まりで、最低重量もセッションに応じて実質的に増える(フリー走行/予選+2kg、スプリント/決勝+5kg)。

フェルスタッペンはこの方針に強い不満を示した。

「僕は着用するつもりはない。これはドライバー自身が選ぶべきことだと思っている。今年は任意だけど、来年はそうではなくなる予定だと聞いた。それには全く同意できない。」

「少し馬鹿げていると思う。最終的には自分自身の安全や感覚の問題なんだ。」

フェルスタッペンはさらに、冷却ベストは「不快で効果がない」と批判した。

「僕は暑さにあまり苦しまない。少し汗をかくのは問題ないし、このベストは15~20分で温まってしまうから役に立たない。」

また彼は、FIAが主張する「安全性向上」という理由にも反論した。

「安全性を高めるべき点なんて他にもいくらでもある。特定のサーキットのピット入口なんかの方が優先度が高いと思う。だから車内でベストを着るなんて気が進まない。」

同じく複数回の世界王者であるルイス・ハミルトンも同様の意見を呈した。

「ドライバーにこんなものを強制すべきじゃないと思う。FIAは“安全のため”と言うけど、熱中症で命を落としたドライバーなんていない。火災事故を除けばね。」

「本当に馬鹿げてきた。着るかどうかは僕たちが決めるべきだ。用意してくれたこと、改良を進めていることには感謝しているし、極端に暑い状況では確かに役立つかもしれない。でも、絶対に義務化すべきではない。」

ハミルトンは日曜の決勝で着用を検討していると認めたが、ジョージ・ラッセルはスタート時にベストを着用することを明かしている。

チャンピオンシップリーダーのオスカー・ピアストリも判断を保留している。

「この取り組み自体は良いと思う。でもマックスが言ったように、使うかどうかを選べることが重要だ。利点もあれば欠点もあるからね。」